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2005年3月15日(火)
19.トルコでショッピング

 先日、お会いした女性。
 何年か前にパックツアーでトルコに旅行に行き、そのときに親しくなった現地のガイドと今でも交流があり、トルコの物で何か欲しい物(たとえば絨毯やセラミック、などなど)があれば、そのガイドに連絡をして、向こうから送ってもらっているらしい。
「だから、あたくし。トルコの物に関しては、全部本当の値段を知ってますのよ」
 鼻高々に言ってたなー。

 時々デパートなんかでトルコ物産展なんてのをやっているが、そういうのをわざわざ見に行っては、
「ふふん、あたくしはこれと同じ物をいくらいくらで買ったわ」
 てなことをやっているみたいである。彼女が知っている「本当の値段」と比べては、さぞかし気分が良くなっているのだろう。

 だいたい「本当の値段」って何なんだ?
 どんな物であっても、人が介在すると必ずコミッション、言ってみれば手間賃が加算される。それは商売をしていくうえで当然のことだ。
 店を持っていれば、家賃や光熱費や人件費もかかるだろう。そのうえで利益を得るためには、高いコミッションをプラスして売るのがてっとり早い。ま、そこは売る側の実力もあってのことだが。

 私が知っている限りのトルコ人を見ると、そういった「自分への利益を追求する努力」は、日本人なんか比べものにならないほど大したもんである。
 たとえば、海外旅行のついでに、免税店で香水を買ってきてなどと頼まれると、日本人なら自分が買った値段そのまま(時には端数なんかサービスしちゃったりもして)を提示するが、トルコ人に限らずとも大抵の外国人(特にアジア系)は、その買った値段に自分の手間賃をプラスする。わざわざ買いに行って持ってきてあげたんだから、というのが理由である。

 観光業に関わっている人間ならば、付き合っているすべての外国人は自分にとっての「お客様」に他ならない。ましてや、たった一度や二度会っただけの相手である。
 彼女が「本当の値段」だと思っているものに、どれだけガイドがコミッションを加算しているのかは知らないが、まぁ安く買えたと思っているのなら、それはそれでいいんだろう。ただ、現地の人間に向かって堂々と、
「あたくしは本当の値段を知ってますから」
 とエバるのはやめた方がいいと思うな。陰で笑われるだけだからさ。

 私自身は、タダでくれるもの以外は、たとえ相手が友人であろうと親類であろうと、物を売るときには絶対にそこにはコミッションが加算されていると、最初からそう思うようにしている。
 それはトルコで生活するための一種の処世術みたいなもんだ。たとえ友人であろうが親戚であろうが商売は商売、というふうに割り切れる人種である。だったら、自分もそう割り切っていくしかない。
 ちょっと高いなと思えば値切ればいいんだし、もし仮にボラれていたとしても、自分が納得して買ったんなら、それでよしとすれば腹も立たない。

 あとで仕入れ値を知らされて、
「きーッ! 騙されたわー!」
 なんて思うのは浅ましい。騙されたと感じたなら、騙された自分が悪いんだし。
 自分が少しでも安く買いたいと願う気持ちと同じく、相手の方も少しでも高く売りたいという気持ちがあるのだ。その駆け引きを楽しめばいいだけなのである。

 まぁでも、特に日本人は駆け引きが苦手だから、フィックス・プライスじゃないものに対しては、どうしたらいいのかわからないってのもあるんだろう。
 値切らなきゃ、とにかく値切らなきゃという思いでいっぱいで、いきなり提示された価格の一割から交渉を始めてしまったおばさんを見たことがある。さすがに店員も怒ったようで、そのあと無視されていたが。

 私の場合は、まず値段を訊いてから、
「ディスカウントはある?」
 というふうに問いかける。相手がディスカウントした値段を言ってきたら、大抵はその値段で買う。もしくは、
「いくつか買うから、少しまけて」
 という言い方。ほとんどの場合は、向こうもOKしてくれる。

 と言うのは、私は絶対に一人では買い物に行かないからだ。
 日本人(外国人)が一人で買いに行ったときと、トルコ人と一緒のときとは値段が異なってくる。また、その一緒に買い物に行く相手が誰かということも重要なポイントである。
 自分が観光客である場合。客が物を買ったときは、あとで店からトルコ人に対してコミッションが支払われる。言ってみれば、店に連れてきたことへの「お礼」みたいなものか。
 もちろん、その分の金額はちゃんと客が買う価格の中に組み入れられている。それでも、観光客が一人で買いに行くよりはずっと安い。
 たとえ観光客であっても、自分とそのトルコ人とがとても親しい関係で、コミッションを要求しない相手であれば、さらに値段は安くなる。

 私の買い物に付き合ってくれているトルコ人たちが、あとでコミッションを取っているかどうかは私自身も知らないが、面倒くさい駆け引きをしなくてすんで、さらにはちょっと安く買えて得もして、売った側や紹介した側も儲かるのならいいじゃんと思っている。
 私自身は「本当の値段」なんて知りたいとも思っていないし、ボラれるのもまた、旅に於ける醍醐味だったりもするからね。

※写真は、私が買ったスザニのバッグ。定価150US$。(それをいくらで買ったかはヒミツ)





 
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