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2005年2月27日(日)
13.猫との愛の日々

 うちには「サジ」と「レンゲ」という名前の二匹の猫がいる。
 サジはアメリカン・ショートヘヤーのオスで7歳になる。もう一方のレンゲの方はロシアン・ブルーのメスで、サジの4ヶ月あとにうちに来た猫である。

 レンゲは青山ケンネルで16万円で購入。この猫に関してのいきさつは『及川眠子の衝動買い日記』(おばあちゃんの知恵袋の会のホームページで連載中)の第6回目に書いてあるので、そちらを読んでほしい。
 サジは知人からタダでもらわれてきた子である。そして、アメショの中でもかなり男前である。

 人間の子どもにも当てはまるが、普通自分ちの子は誰よりも可愛く見えるものである。
「いやぁ、俺にそっくりだってみんなに言われちゃって、ほんと可愛いんだよなぁ 」
 デレデレと子ども自慢をしている男はよくいるが、可愛く見えるのは単なる親の欲目。確かにあんたに似て不細工だわい、と思うこともしばしば。

 しかし私の場合、見た目のレベルに関しては非常にハードルが高く、また客観的な目を持っていると自負しているくらいなので、サジの男前は誰もが認めるところである。
「あらぁ 、この子の顔は可愛いねぇ 」
 獣医にも言われたほどだ。
 って言うか、たとえ猫でも顔がよくなけりゃ、もらうということもしなかっただろうと思う。特にオスの場合は。

 人間でも犬猫でも言えるが、男はやっぱり顔が大事だ。多少の欠点は顔の良さでカバーしてしまえる。
 そして、やっぱり人間にも犬猫にも同じことが言えるのが、顔のいいヤツはたいてい人なつっこくて、バカなのである。

 レンゲはたいして美形ではないし、クールで神経質な猫であるが、なかなか賢い。人間に例えれば久本雅美という感じか。そのうち文化人になって、本を出したり講演会もこなしちゃうわ、というタイプである。
 しかし、サジはただのバカ。
 メジャーどころのモデルでばりばり稼げたのは若いうちだけ。そのうち年をとり体型もくずれだし、でも次の手を考えられずに、行き着くところはスーパーのチラシのモデル。肌着にブリーフ姿で颯爽とポーズを決めてはいるものの、見ている側にとっては思わず悲しみをそそられる…。
 サジがもし人間だったら、絶対にそんな痛い人生を歩みそうである。

 なんでバカかと言うと、とにかく「学習」をしない。
 たいていの猫はお風呂が大嫌いである。そして、病院も大嫌いである。うちの二匹の猫も同じで、風呂に入れるたびに暴れまくり、病院ではずっとプルプルふるえている。
 毛並みが汚れてきたし、ちょっと臭くもなってきた。さて今日は暖かいから風呂に入れるか。
 そう思って、バスタオルやら猫用のシャンプーやらを用意していると、その時点でレンゲは逃げる。風呂に入れられるということを察知するようである。 
 いったいどこに隠れたのか、ようやく探し当てたあとも家中を逃げまくり、つかまえて風呂に入れるまでは格闘である。

 ところがサジの場合は、
「何してんのー?」
 と、クローゼットから引っ張り出した猫用タオルの匂いを嗅いだり、ブラシを転がして遊んでみたり。そのまま抱っこされ、風呂に連れて行かれても、
「どこに行くのかなー?」
 ぼんやりあたりを見回している。そして、風呂場でお湯をかけられた瞬間に、
「しまったぁー! お風呂だぁー!」
 初めて気付くみたいで、そこから暴れ出すのである。
 毎度同じパターン。何度同じことをされても、まったく学習をしない頭は「かつてイヤだった思い出」も即座に消し去ってくれるようである。

 病院に行くときも同じで、ケージを出した途端にやはりレンゲは逃げるのだが、サジは病院に連れて行かれ、注射を打たれてからやっと、
「いやぁー! 注射痛いー、きらいー!」
 と泣くのである。

 でも、飼い主にとって言えるのは、そんなバカな猫だからよけいに可愛い。レンゲとサジとを比べると、やっぱりサジの方を選んでしまうし。
 人間だってちょっとバカなくらいの方が誠実でチャーミングだったりする。頭のいいヤツはどこかズルかったり、野心ばかりが強くて優しくなかったりするのが多いから。
 まぁ、うんと頭のいいヤツはそういった部分でさえ隠し通せるワザを持っているのだが、びっくりするくらい頭のいい人間なんてそうそういない。中途半端に賢いヤツばっかりで。
 だったら、いっそのことバカなヤツと付き合う方が気楽ではある。

 そう言えば。今どき「癒し系」と呼ばれるような男は、なんとなくバカの匂いを漂わせているしな。
 って。男に対しても飼い主の気分なのか、私は。




 
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