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2005年1月20日(木)
6.迷い道くねくね

 前回の続きである。
 くねくね、じゃなくてまっすぐな道でも迷う及川である。

 先日も、スタジオアルタは紀伊国屋書店より新宿3丁目寄り、というふうに思い込んで出掛けていった。
 紀伊国屋書店と伊勢丹の間を何往復もしたが、見つからない。もしかしたら伊勢丹よりもっと3丁目寄りかとも思い、そっちの方まで歩いてみたが、やっぱりない
「ない。なぜない。さてはスタジオアルタ、潰れたか」
 そんなわけねーだろ、と思うのが普通なのだが、そう思い込んで待ち合わせをしている人に、
「スタジオアルタが見つかりません」
 と電話をした。
 どんな田舎者でも知っているスタジオアルタである。すっかり呆れかえられてしまったのは仕方がない。
 ちなみに、スタジオアルタは紀伊国屋書店よりずっとガード寄り。新宿駅の真ん前である。って説明されなくても、誰だって知ってるよな。

 なぜかいつも思い込んで、とんでもないところに行ってしまう。私には悪い霊が憑いているのだろうか?
 また、私には鬼門があって、何度も行っているのに絶対にすんなりと到着できたためしがないという場所がある。
 新宿の厚生年金会館である。あんなデカい建物。あんなわかりやすい場所。なのに、いつも迷う及川である。

 もっと迷ったのは、今はなき新宿の日清パワーステーションである。
 日清パワーステーションでライブがあるから見に来て、と言われた瞬間に脚がふるえたものだ。
 迷って迷って汗だくになって、到着してみると案外、
「なーんだ。こんな簡単な場所にあったんだ」
 と思うのである。そして、次回もまた道を間違える。せめて何でもいいから目印を覚えておけよと、自分で自分を責めるしかない。

 そのくせ私は、初めて行く場所はほとんど間違えないで行ける。
「迷った?」
「ううん、全然!」
 いつも思いきり胸を張って答えている。
 なぜ迷わないかと言うと、答は簡単。初めて行く場所は、たいてい地図をくれるからである。地図をくれなくても、初めてだからということでちゃんと下調べをして行く。
 だったら、次回のためにその地図や資料をちゃんと取っておけばいいものを、
「もう二度と来ないや」
 そう思って、いつも捨ててしまう。
 そして、次回同じ場所に行かなければいけなくなった場合、
「この前行ったもんねー」
 ささやかな奢りを胸に抱き、自分の記憶だけを頼りに行こうとするから、間違える。

 もっと悪いことに、その怒りを相手にぶつける。こんなわかりにくいところに事務所や家を持ってるのが悪いんだ。迷うような場所で待ち合わせをするのがいけないんだ、と。
 はっきり言って、私がバカなだけである。

 去年車を買い換えて、ナビゲーションシステムを付けたら、よけいにこの傾向が強くなった。
 住所や名称をナビに入れて、その案内のとおりにただ車を走らせているだけである。助手席に乗せてもらって、目的地に連れて行ってもらっているのと何ら変わりがない。
 道順とか目的地付近の状況とか、とにかく何も把握していないから、たまに電車で行こうとすると、もう訳がわからなくなって思いっきり迷ってしまう。

 また、ナビは結構気まぐれで、時々違う道順で行こうとする。
 いつもは左折して右折して行ってたものを、いつもより先で左折してまっすぐ行こうとしたりする。たぶん道の混み具合とか、ナビなりに何か考えがあってのことなんだろう。
 違う道を指示されて、
「目的地付近です」
 そう言われても、及川としては困るだけなのである。
「ええい。とにかく車を駐車場に入れちゃえ!」
 先日もそうやって道に迷い、歩いて目的地を探した。人にも訊ねた。同じ道を何度も行き来した挙げ句、その駐車場の斜め向かいに目的地があることに気付いたのは20分後であった。
 情けないったらありゃしない。

 私ってバカだなぁとつくづく思ってしまうのは、こんな瞬間である。
 もしかして及川。人生の道順も迷っていないか。自分では迷ってることに気付いていないだけで。




 
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