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以前は音楽業界の人間たちと一緒に、夜な夜な街にくりだしては「今は何が売れてる」とか「近ごろ誰々はいい仕事をしている」とか「誰と誰がデキてる」なんていう、ギョーカイユースな話をするのが好きだった。
今はぜ んぜん好きじゃなくなってる。
こういうことがあったから……という理由は特にないんだけど、人が隣でギョーカイ話に盛り上がっていても、あっそう、へえって感じ。
その代わりと言っちゃ何だが、出版社も含めたギョーカイ以外の人たちと遊ぶ方が面白くなってきた。
私には子供がいないけど、子供と遊ぶのはとても楽しい。癒されるからではない。逆に子供のエネルギーは強力で、そのパワーに振り回されて、自分も元気にならざるをえないことに妙に快感を感じるからだ。
そして、私は誘われればどこへでも行く。誰にでも会う。
たとえば、落ち込んだとき。よく気を紛らすために仕事して、なんていう人がいるけど、仕事って本来は気を紛らすためにするもんじゃないじゃん。生活かかってるもので気は紛れないでしょ?
人っていつも、自分の言うことを聞かせたがるくせに、責任を負うことはしないし、他人を迷わせることが好きだったりもするけど、でも反対に人を変えられるのも人しかないと思ってる。
だから、落ち込んだ自分を変えたいと思うから、ユウウツなときほど人に会うようにするワケ。ま、もっと落ち込ませてくれる人も多いんだけどさ。
そんでもって、そういう「出会い」の場が多ければ多いほどいいだろうと、今年になってから、私が代表で『西向くサムライの会』という、国際的に活動するジャーナリストを呼んで話を聞く勉強会(異業種合コンとも言う)を始めた。
で、ある程度客が入ってくれないと会場費も出なかったりするので、私の周りにも声を掛けるのだけど、ときに
「私は国際問題とか全然興味ないし、そんな集まりに行っても『浮いちゃう』から」
そういう返事が戻ってくるんだな。
国際情勢とかジャーナリストとか難しそうでヤだから行かない、って返事だとわかりやすいんだけど、『浮く』って言われちゃうと……。
「いえいえ、あなたは浮いてしまうほど目立つ人ではありませんよ」
どうもねぇ。そんなふうに言ってしまいたくなるのだよ。
第一『浮く』ってどういう意味だ?
今の日本人は周りから浮くことを非常に怖がっている人が多くて、だから人と同じような物を持ったり、同じ行動をとったりすると誰かが言っていた。
でも、それこそ周りの状況なんてお構いなしに振る舞って、それがまたバグパイプくらいにすさまじい勢いのパワーじゃないと、人はなかなか浮いたりしないものじゃないだろうか。
国際問題は苦手だから、初めての人に対しては人見知りするから、で、端っこに座って話を聞いているだけでした……では浮くことはないでしょう?
そう考えると、要するに自意識過剰な人が増えて、人に嫌われることが怖い人ばかりってことにしかすぎないだろう。
浮いてしまうかもという不安は自意識の現れで、でも、浮くことを恐れていたら、新しい世界も開けない。
ちまちました場所で、自分のお気に入りの人たちだけと、話を合わせて生きていられる人はそれでもいいんだろうけどさ。
また、周りから浮くくらいのパワーがないと、生きていくこと自体楽しくないんじゃないか?
話はちょっとそれるが、『西向くサムライの会』の第一回目の講師に来てもらった軍事ジャーナリストの加藤健二郎氏が最近バグパイプを始めたらしく、このあいだそれを聴かせてもらったのだが、とんでもなくデカい音で、耳はキンキン、頭は割れるかと思ってしまった。
逆に、あんなバグパイプのような人間がいたら、浮くどころか単なる迷惑だと感じた次第だ。
【加藤健二郎氏、バグパイプ風景はこちら】
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