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2004年10月17日(日)
60.マジョリティーな悩み

 文明や経済の発展は、同時に様々な弊害をも生み出してしまう。
 50年前の日本と今の日本じゃ、犯罪の質や病気の種類でさえも違ってきた。戦前戦後を生き抜いた人たちから見ると、日本はずいぶん豊かに、そして病んだ国に変わっただろうと思う。

 確かに、ひきこもりのクメール人とか、拒食症のパシュトゥン人とか聞いたこともないよな。って言うか、ひきこもっていたら死んじゃうじゃん。食べて吐いてを繰り返せるほど、食べ物も豊富にあるわけじゃないし。
 おなかいっぱい食べられることや戦争のない日常が夢である人たちにとって、私たちが抱えているような悩みやストレスなんて、ほんとにバカみたいなことなのかもしれない。

 現在、中国は急成長を続けているけど、きっとこれからの中国は、いろんな意味でひずみが出てくるだろうと思う。ましてや、日本が50年かかって遂げたことを、5年くらいのあいだにやろうとしているんだもの。
 さらに、一人っ子政策で甘やかされて育ったどうしようもないガキが、うようよと社会に出てくる。そいつらが明日の国家を担うわけだ。
 そして、今の日本人のように、どうでもいいようなストレスに翻弄されながら生きていくんだろうなぁ。

 話は変わって。
 私はドラッグストアが大好きで、新製品を見かけるたびについ買っちゃったりもするのだが、先日ドラッグストアの店内をふらふら歩いていて、気付いたことがある。
 脱毛用のワックスとか剃刀とか、とてもたくさん種類があるんだね。
 世の中にはこんなに「毛」で悩んでいる人がいるんだと、体毛が薄くて手入れなどほとんどしたことがない私は、そう思っちゃったよ。

 そう言えば、私は目の悪い人の気持ちもなかなか理解できなかったなぁ。でも、目がいいせいで最近は老眼が進んできて、やっと「ものが見えづらい」はがゆさだけはわかるようにもなったけど。
 あと、自分の臭いに悩んでいる人もきっと多いんだろうと思う。デオドラント・スプレーやワックスなどもたくさん出ているし。
 ドラッグストアーでいるだけで、自分に関係ないものがよくわかる。関係はないけど、その悩みのためにつらくてどうしようもない人も世間にはたくさんいるんだろうってことも。

 臭いとか毛とかはお陰様で無縁で来たのだけど、私はものすごい肩こりで、新しい湿布や肩こり解消グッズが出るたび買ってしまう。この肩こりがなければベンツ1台くらい余裕で買えた、というくらいにお金もつぎ込んできた。
 肩こりなんて全然ないよ、という人にとっては理解できないと思う。でも、肩こり関連商品があれだけあるところを見れば、肩こりってのはきっとマジョリティーな悩みなんだろう。

 また、それに加えてのアレルギーである。
 相変わらず顔と首には赤いポツポツが途切れることなく出来続け、痒くて痒くてのたうちまわるときもある。
 最近、私の周りの特に同年代の女性に、このアレルギーが多い。人によっては湿疹と言ったりじんましんと名付けたりしているみたいだが、これは一説によると大気汚染に関係しているらしいのだ。
 地球温暖化が進み、オゾン層が破壊されることによって空気が変わり、それに対応できない肌の持ち主がアレルギー症状を起こしていると、そう説く人もいた。
 でも、だったらそれは世界的な問題になるはずなのに、日本以外の国ではあまり聞かないのはなぜだろう。日本人の免疫力が落ちてきたのか。それともやっぱり医者が言うように「更年期障害のせい」なのか。
 季節の変わり目、特に冬から春に変わる頃には、いつも痒い痒いと体を掻きむしってきた私の悩みは、もはや少数派のものではなくなり、それ関係の商品もずいぶん増えたように感じる。

 あと、私の爪はとても弱くて、ちょっと伸ばすとすぐ欠けたり折れたりしてしまうのが悩みだったのだが、でもこんなものを解決できる商品なんてないだろうなぁと思いドラッグストアに行ったら、爪を強くするクリームやマニキュアがたくさん売られているのでビックリしたことがある。
 私の悩みはみんなの悩み、だと実感したね。

 近頃髪の毛がよく抜けるのよと言えば、私も私ものオンパレード。いやぁ、下腹に思いっきり力を入れると尿漏れするようになってねと言えば、やっぱり私も私も。
 首から上がやたらに汗をかくとか、下腹の肉付きが良くなってきたとか、白髪が増えたとか、顔のたるみが気になるとか。一つ話題が出るたびに、私も私も私も、で盛り上がる。
 つまり歳をとると、ある程度の差はあれ、みんな悩みは同じってことか。
 それでも臭いと毛にだけは悩んだことがない私の人生は、ちょっと得をしてきたのかもしれない。




 
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