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男と女の間には深くて暗い河がある、と思っている人たちがいる。わかりやすく言えば、基本的に男と女の友情は成り立たないと思っている人である。
「私は男友達がいっぱいいるし、そんなことはないわ」
そう言い切った人。よーく見渡してみてほしい。自分の男友達と呼べるような人の中に、魅力的な男たちはいるだろうか。
異性を感じさせない、男という範疇にも入らないというような男は、たとえ何百人友達に持っていたからと言って、「深くて暗い河がない」証拠にはならないのである。
お互いに異性であることを意識しながら、恋愛感情に近いものを抱きつつ、ギリギリのところで友達でいる関係の方が、男女間の友情は楽しい。魅力的じゃない男なんて、友達にしてもつまらないだけだ。
しかし反対に、男もしくは女と聞いただけで、頭が恋愛モードに直行してしまう人もいる。
「今度さー、若くて可愛い男の子たちと飲むんだけど、あなたも来ない?」
「ええっ・・・・・・。でも、私みたいなオバサンじゃ、向こうに悪いんじゃない?」
「大丈夫だよ。年増を承知で来るから」
「だけど、あんまり若くても、私も困るし・・・・・・」
何が困るんだよ? 飲み会に誘っただけなのに、すでにその中の誰かと恋に落ちるかのごとく、出逢いを恐れたりためらったりしてしまう人がいる。すべての男に対して、恋愛の対象としての窓口しか持っていないのだろうか。
私自身は女友達より、どちらかと言うと男の友達の方が多いのだが、それはただ単純に、私が女に嫌われやすい性格だからでもある。
男と女の場合は、たとえ考え方が違っていてもすんなり認めあえるのだが、女同士というのは常に共感を求めあい、自分とは異種類の人間を拒むところがあるようだ。だから、友達になっても、お互いの意見を戦わせあう前に、たいていは向こうに引かれてしまう。気が合わないとすぐダメになる。だから、同性とは友達でいられる期間が短い。
逆に男の場合は、知り合う数は少なくても、わりと長期間友達でいられることが多い。まぁ男女間の方がある一定の距離を保って付き合うから、長く続けられるのだろう。
私は知らない人に会うのは大好きだし、人に人を紹介することも全然イヤではない。ステキな男友達なら人にも見せびらかしたい。
「いい男がいるよー。会わせるよ」
「ほんとっ? 年は幾つ? 独身よね?」
「年は30代後半かなぁ。結婚してるし、子どももいるけど」
「えっ! じゃあダメじゃん!」
「なんで?」
「結婚してるんでしょ? それに年下は私のタイプじゃないし」
友達に会わせたいって言っただけなのに・・・・・・。
男を紹介してくれる、イコール見合いだと思っているんだろうか。だったら結婚相談所のように金取るぞ。
時には、面白くていい男がいると言っただけで、
「でも、私は彼氏がいるし・・・・・・」
と言いやがる女もいる。出逢った途端に、男が自分に惚れるとでも思っているのか。自信過剰って言うか、飢えてる感じがして気持ちが悪い。
また、そういう女に限らず、他人が男友達と仲良くしてると必要以上に勘ぐるタイプもいる。
「○○さんとはずいぶん仲いいんだねぇ」
「うん、仲いいよ。○○さんの奥さんとも気が合うし」
「なんだよ 、友達かぁ 」
男と女が仲良くしていて、恋愛関係にならないのは異常なことだと思っているんだろうか。
ある男友達と私はもう20年近い付き合いになるのだが、相変わらず仲がいい。それを見た友人はやっかむのか、それとも不思議なのか、
「結局あなたは彼と結婚しちゃうかもね」
勝手に決めるなよ!
こっちも独身で、仲良くしている男も独身だと、恋愛しなきゃいけないみたいな方向に考えられてしまうのも何だかなぁ。恋愛状態に陥らなくても、楽しくてスリリングな関係がちゃんと成り立つのだ。
思うに、出逢いを恋愛に直結したがる人も、他人のことを勘ぐる人も、きっと気持ちが若い頃のままなんだろうな。
私自身も若い頃は自分が恋愛中心に回っていた。出逢いは恋愛の始まりだったし、いつも異性を意識していたし。
でも、年をとるにつれ、わーっと燃えて冷める恋よりも、じわじわズルズルといく友情気分の方が、楽しさも緊張感も持続させられるということに気付いたのだ。男を恋愛対象として見るよりも、こいつとは友達になれるかという判断をするようになった。
男と女であることを了承しあいながら、恋愛という感情を超えていく。男女間の友情は「深くて暗い河」の中で進行している方が、むしろ健全なのじゃないだろうか。
好きだ嫌いだと言ってるよりも、好きとも嫌いとも言わない間柄の方が、案外正直になれたりもするしさ。
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