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2004年8月21日(土)
『ミリタリー・リリシストへの道』 1
7月26日から約10日ほど、東トルコ(クルディスタンと呼ばれる地)を訪問。
今まで何度もトルコに出掛けているのに、興味を持ちながらもマラテヤ以東のトルコ には今までまったく足を踏み入れていなかった。
今回はレンタカー(プジョーの新車だ)を借りての旅。と言うのは、及川は飛行機が 大の苦手で、成田からイスタンブールに行くまでの12時間でもううんざり。トルコ の列車は、日本でも事故が報道されたが、危険極まりない。さらに車だと6時間で行 けるところを8時間以上かかったりするほどのノロノロ運転。

また、トルコではほとんどの人たちが長距離バスを利用しての移動なのだが、これは 早くて安くて便利。しかし、乗っている人間がすべてトルコ人のために、臭い。一度 乗っただけで「二度とイヤ!」という気分を味わったために、金はかかるが最も快適 なレンタカーでの移動になった。

イスタンブール→シャンルウルファ→ハラン→シャンルウルファ→ヌサイビン→マル ディン→ハサンケイフ→ディヤルバクル→マラテヤ→シワス→マラテヤ→イスタンブー ル。
走行距離総数、なんと5000km。でも、車だと小回りが利いて、行きたいと思っ たところにも簡単に行けていい。
お陰でさらによけいな金がかかる羽目に陥ってしまったが・・・

また、最近は日本でもクルド問題の研究をやっている人が増えてきたが、クルド問題 と相対するトルコ政府軍を熟知している人というのはあまりいないみたいだ。
トルコ人に言わせると「トルコ軍は設備やシステムは最悪、でも兵士はどの国にも引 けをとらないくらいに強い」らしいので、せっかくクルディスタンに行くのだがらと、 軍の駐屯地も訪問。
うまく取材ができれば、日本初の『ミリタリー・リリシスト』になれるかもと、黒い 心を抱きながらの旅となった。
しかし、ジャーナリズムの神様は及川には降りてこなかった。と言うより、そこまで の根性が及川にはない。
トルコ軍は、トルコでは最も「シークレット」とされていて、軍事施設も兵士も一切 撮影禁止。撮影しているところがばれると即刻逮捕、で国外退去の処分に。また、写 真を撮らせたことがわかると、その兵士自身も逮捕される。
てな訳で、軍事施設や兵士の写真はそのほとんどが隠し撮りをしたものなのだが、及 川には写真の神様も降りては来ず、あとで見てみたらロクでもないものばかりだった。 所詮、作詞なんていう瞬間芸で20年間食ってきた人間のやることである。


■シャンルウルファ
予言者イブラヒム生誕の地とされ、トルコイスラム教徒にとっては神聖な地であるシャ ンルウルファ。
「ここの名物は?」と訊いたら「ケバブ(肉料理)とひどい暑さとひどい寒さ」と言 われた。確かに、この日も40℃以上。炎天下に10分間立っているだけで、生きて いることさえ投げ出したくなってしまう。
しかし、シャンルウルファはお金持ちが多いらしく、町並みは結構きれい。
ここでは外国人観光者らしく観光地を見て回り、知人の家を訪ねたりして過ごした。


■ハラン
シャンルウルファから車で30分ほど行ったところにある、三角屋根の家が建ち並ぶ地域。
シリアとの国境がすぐ近くのため、アラブ人が多い。
あまりにもしつくこつきまとわれ、仕方なくガイドに雇った少年もアラブ人だった。
この子は英語を話すのだが、ほとんど聞き取り不可能。
しかし、仕方なく雇ったくせに、その男の子の家に上がり込み、お茶をごちそうになる。さらには、ばあさんに気に入られスカーフを土産にもらった。

このあと、ハランのジャンダルマの駐屯地を訪問。
ジャンダルマとは軍における警察を指していて、通常のポリスは主に市街地を警備しているが、ジャンダルマは市外を管轄している。

軍を取材する場合は、アンカラ(首都)の軍のセンターに行って手配をしなければいけないのだが、及川は何も考えず、一貫して浮わついた気分でいるので、のこのこと駐屯地に入っていった。
で、警備に当たる兵士に銃を突きつけられ、「何の用事だ?」と訊かれる。
「ワタシ、日本の作詞家。兵隊さんスキ。兵隊さんの歌書きたくて、いろいろ話聞きたい。でも日本のアーミー、優秀な部隊は今イラク。イラク、とってもデンジャラス。
だからトルコに来た。ボスに会わせろ」

たぬきがへそで茶を沸かすような嘘をつきまくり、まんまと中に進入。
で、ナンバー2に話を聞くことが出来たが、建物内の施設にはさすがに案内してもらえなかった。(最初、ナンバー2は全部見せてあげると言っていたのだが、話の途中でナンバー1が現れ、こいつがダメだと言った)もちろん写真撮影も禁止。
脳ミソが溶けそうになるくらいに甘いインスタント・コーヒーをごちそうになり、そのあと庭の植木の説明を受ける。

ナンバー2から「私がここに来てから庭の植木を全部植え替えたため、蚊がずいぶんと少なくなった」という自慢を延々と聞かされた。
帰り際、「また来年も来てね」と訳のわからないことを言われる。
「ハランの治安は?」と訊いたら、「とってもいい」と言っていた。おそらく毎日暇をこきまくっているのだろう。

■ハラン〜シャンルウルファ

シャンルウルファに戻る道で、うっかりポリスの車を追い越し。
スピードを出していたわけではなく、前を走るトラックを追い抜こうとしたら、そのトラックの前にポリスの車がいて、ついいっしょに追い抜いてしまったというわけ。
案の定、車を止められる。
そのとき車を運転していたうちのトルコ人は、イラクの武装勢力が頭や顔を覆っているクフィーアと呼ばれる布(トルコでは別の名前。聞いたけど忘れてしまった)を頭に被っており、さらに真っ黒なサングラス。私は私で、日焼け防止のために頭から大きな布をすっぽり被って、目だけを出しているという状態。
それを見たポリス。ぎょっとしたみたいで、思わず「トルコ語は話せる?」
免許書を出せと言われて、ポリスの車に連れて行かれるが、「今コンピュータに君の番号を打ち込んだからね。でも、これは自分の一存でチャラにすることもできる。そのためにはちょっと金が必要なんだけどさ」
つまり、賄賂を差し出せと言うこと。
こういうことは今まで何度もあるので、2千万トルコリラ(1500円くらい)を握らせる。
トルコのポリスは相変わらず腐っている。
以前、車を止められた瞬間に「カチパラ(いくら)?」と訊いてしまったことがある。
そのときは、さすがにポリスも苦笑していたが。でも、金はしっかり取られた。




 
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