及川眠子 Diary日記風エッセイ「ムカつく私がバカなのか、それとも世間が悪いのか」
 
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2007年8月23日(木)
■41.スカート嫌い

 私の友人の中でも何人か、「絶対にスカートを履かない!」という人がいる。小さい頃から、学校の制服以外でスカートを履いたことがないらしい。
 逆に私はスカート大好き。特に夏はスカートの方が涼しいから、出掛けるときも家にいるときもほとんどスカートである。

 股間がスカスカする。なんとなく落ち着かない。いま持っているトップスとコーディネイトしづらい。…なんてのが、スカートを履かない理由みたいだ。
 それとは別に、妙に女を意識してしまうから。私は女らしくないから。そういうふうに言う人たちもいる。
 確かに、パンツの方が行動的になれるし、多少行儀が悪くても許されるところはある。でも、スカートをはくイコール女を主張している、というふうに考えるのってあまりにも短絡的すぎないか。

 むしろ私は、真夏にジーンズを履くことの方が勇気を感じてしまう。くそ暑いのに、あんな通気性も悪くゴワゴワしたものを履いていて、よく平気でいられるなぁ…。
 ちなみに、私はジーンズを2本しか持っていない。スカートの方がいろいろコーディネイトできて楽しいし、オシャレの幅も広がる。どうしても「行動的にならざるを得ない」ときには、ジャージかヨガ用のパンツを履いていく。
 ま、スカートを履こうが履くまいが、それは個人の好みだから、これ以上は文句を言わないけどね。

 ところで、話はコロリと変わる。

 この夏もトルコで半月ほど過ごし、その間にトロイの遺跡やエーゲ海沿いの街に行き、何組かの日本人のグループツアーに出会った。
 私はグループで行く旅行というのを経験したことがないのだけれど、ああいうツアーというのは、「服装はこれで」みたいな決まりがあるのだろうか。まるで申し合わせたみたいに、みんな同じような格好をしているのはなぜだ?
 折り畳めるツバの小さい帽子に、長袖のポロシャツ。もしくは、Tシャツやキャミソールの上に、やっぱり長袖の薄手のブラウス。下は決まってベージュとか紺など目立たない色のコットンパンツ、あるいはジーンズ。そして、運動靴(ニューバランス多し)に、肩からは小さなポシェットを下げている。
 多少の色のばらつきや雰囲気の差はあるものの、遠くから見ても「あっ、日本人のグループだ」とわかってしまうほど、どのツアー客も服装が似ているのである。で、みんな内股でペタペタ歩いている。
 そこには妙に「日本人らしさ」も漂っていて、一人一人を見るとそこそこ個性があるのに、団体になるとやはり同じようなカラーに染まってしまうんだなぁと実感。私もグループ客に紛れれば、きっと「いかにも日本人」の一人になってしまうんだろうと思う。

 最近はどこの国でも、韓国人の団体客が増えていて、これがまた日本人とは違っていて面白い。
 韓国人の若い子たちはそこそこセンスもいいけれど、おばちゃんたちはパンチパーマが伸びたような髪型に、妙に派手な色の洋服。それも、トップスは花柄でボトムはチェックなんていう、恐ろしいコーディネイトだったりもする。そして、頭にはサンバイザー。あるいは、日傘を差して歩いている。
 若いバックパッカーに限っては、日本人も韓国人もほとんど同じような格好だが、絶対的に違うのは靴。具体的にうまく説明ができないのだけど、実物を見るとほんとによくわかる。日本人が履いている靴は、やっぱり(値段は安くても)きれいだし丈夫そうにできているのだよ。
 あと、一人でふらふら歩いている子は、ほとんど日本人だな。バックパッカーでも、韓国人や中国人はたいてい2人以上が一緒にいる。

 日本人の私から見て、欧米人は果たしてどこの国から来たのか、若いのか年寄りなのかさえわからないときがある。えらく薄汚い格好をしているくせに、泊まっているのはヒルトンホテルだとか。なのに、ホテルから観光地に来るのに、電車やバスで移動しているとか。その価値観さえもまったく理解できない。
 その点、アジア人同士は違いもわかる。
 同じ中国人でも、中国本土(北京や上海からの人が多い)と台湾と香港の人たちは全然違う。フリーで旅行しているのは、たいてい台湾か香港の人たちだけど、服装のセンスや顔立ちも微妙に違うもんなんだよな。
 そうやって、いろんな国でいろんな国から来た人たちを見ているのは、なかなか楽しいものである。

 で、及川は外国でどんな格好をしているかと言うと、仕事で行ったときには日本の仕事用の服を着て、遊びのときは「家でいる」のと同じである。
 バリ島で買ったやたら派手なサンドレス(涼しいのだ)や、タイで買ったスカート(やっぱり涼しいから)にTシャツ。それにミュールを履いて、遺跡を見に出掛ける。多少の山道もそれで歩く。
 トルコ以外、ベトナムやタイの村でもそんな格好で行って、向こうで会った日本人の観光客に、
「その格好でいらしたんですか?」
 と聞かれたこともあった。

 現地(旅先)で生活している人たちは、みんなラフな格好をしている。だから、私も普段と同じような服で行く。旅行用の洋服なんて持ってないし。
 履き慣れたミュールは、下ろしたての運動靴よりずっと楽。岩を登ったりしない限り、スカートで全然大丈夫。
 そう言えば、カンボジアのアンコールワットに行ったときは、さすがにジャージを履いていった。
 長いフレアースカート姿で、アンコールワットの上までよじ上ろうとして、途中でつっかえてしまい、にっちもさっちもいかなくなったオーストラリア人のおばちゃん。スカートが風に煽られて、下からパンツが丸見えだった。ああいう状態になったときは、やっぱりスカートは不利だな。

 スカートは女にしか履けない。極端に言えば、女としての特権でもある。だから、女を主張しているみたいでイヤだ、という人もいるのだろうが…。
 ある辺鄙な村で。ものすごーくオシッコがしたくなったが、見渡す限りどこにもトイレらしきものはない。仕方がないので、木の陰でささっと済ませた。
 これがパンツなら、お尻丸出しになってしまう。誰かに見られたときは、めちゃくちゃ恥ずかしい。でも、スカートならある程度は隠せるってもんだ。
 スカートには、こういう便利さがある。

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