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美容院に行った。
ここしばらくショートカットだったが、これから夏になり首筋(特に後ろ側)の日焼けが気になるので、少し伸ばしてみるつもりだ。また、いままでの髪の毛の色にも飽きたので、カラーを変えてもらった。
よく聞く話で、しょっちゅう髪型を変えるヤツは浮気者だとか。そういや、私も頻繁に髪型を変えている。また、伸びるのも早い(ちなみに、髪の毛が伸びるのが早いヤツはスケベ)。ただ、髪の毛自体は若い頃に比べて細くなり、分量も減った。浮気性でスケベなんだけど、体力が劣って淡白になったてなことかもしれない。
「イメージチェンジしてみたのぉ〜」
髪型や化粧法、洋服の趣味が変わるたび、そう宣言する女がいる。で、それがどうしたの?って言いたくなるが…。
私の場合、イメージチェンジをしたと人にわざわざ言うほど、いままでのイメージを持続させていない。
「ありゃ。及川さん、また髪型変えたの」
コロコロ変わることを、人に指摘されるだけだ。つまり飽きっぽく、すぐに新しいものに飛びつくってこと。やっぱ浮気性なのか。
だいたい私自身が、「自分のイメージ」なんてものにこだわらない。背が高いとかデブだとか、すっごいブスだとか、そういう生まれ持った部分は自分ではなかなか変えられないものだけど(最近では変えられるのか…)、外側なんていくらでも変容が利く。
また、私は人から、
「及川さんって、こういうような人」
と決めつけられることがすごくイヤなので、私自身の有り様が固定された瞬間に、それを裏切ってみたくなる。
だから、髪型も洋服の傾向も、時には書くものだって、どんどんと変化させていく。泳ぎ続けなきゃ死んでしまう鮫のように、一つの「イメージ」に縛られることを異常に恐れるのだ。
まぁでも、女性のほとんどは、私のような気持ちを持っているかはどうかはわからないが、年齢とともに、また付き合う男にも合わせて、外側を変えていく人が多いように思う。
しかし、男ってどうしてああも変わらないんだ?
15年ぶりくらいに再会しても、見た目が老けたのは仕方がないが、洋服のセンスや髪型などはほとんど昔のまま。
かつてのフォーク青年は、40代50代になっても、相変わらず中途半端に長い髪にジーパンである。ギターさえあればすぐに路上でライブができ、いつでも反戦集会に駆けつけられるような格好だ。『いちご白書』を観たあとで、もう若くないさと呟き就職し、長い髪を切ったといっても所詮耳のあたりまでなのである。
男は女よりも頑固なのだろうか。それとも、自分のイメージを確立させることにこだわっているのだろうか。
周囲を見ていて感じるのは(統計を取ったわけではないが)、男が劇的に変化するのは大学生くらいの頃である。もとヤンキーがサーファーに変身したり、可愛かった少年がいきなりオッサンの雰囲気を漂わせたりするのは、20歳を過ぎた頃。そして、20代で定着したイメージは、そのまま壮年と呼ばれるときまで引きずっているように思える。
たとえば、さすがにロンドンブーツを履いているような人はいまどきいないが、でも現在の姿に「かつてロンドンブーツを履いていた人」の面影を残している。いまの姿を見ても、ちゃんと「バブルの頃にぶいぶいいわせた人」や「つま恋に吉田拓郎を観に行った人」はわかるのである。
でも、女はそうじゃない。だから、20年くらい前の写真を見て、みんなで大笑いできる。特に時代の流れに敏感な人ほど、その変貌はすごい。
「なんだぁ〜、このぶっとい眉のド派手な女は!」
「きゃあ〜、見て見て。見事な丘サーファーよ!」
いまの姿かたちからは想像もできない、若かりし頃の彼女がピースマークで微笑んでいる。だけど、そこには哀愁や悲劇のかけらもない。ただ、過ぎ去った時間があるのみ。
逆に男が笑いの対象になるのは、以前はこんなに髪の毛がふさふさしてたんだとか、こんなに痩せていたんだとかいうことだけである。そして、笑いながらも、皆せつない気持ちがこみ上げてくるのである。
しかし、私の友人の中にも一部、「外側」の雰囲気が変わっていく男もいる。特に洋服の趣味。以前はいつもばっちりスーツ姿だったのに、最近ではずいぶんカジュアル志向だなぁ、というふうに。
そういう人はたいてい、自分自身は着るものに興味がない。いつも付き合った女の趣味で決まる。もしくは、女が彼の着るものすべてを選んでいるのである。つまり、女が変わるたびに、彼の「イメージ」が変わるのだ。
だから、その人にカノジョがいない時期もすぐにわかる。かつてのカノジョが買ってくれた洋服はあっても、自分ではコーディネイトできないから、ものすごくちぐはぐな格好をしてくるのだ。また、カノジョのセンスが悪いと、これもまた最悪。
案外女よりも男の方が、髪型や着るものでイメージが変わりやすい。いつも坊主頭でいた人が、久しぶりに会ったとき髪を伸ばしていたら、しばらく誰だか気付かなかった。
また、かなりのハゲだった人が、やはり久しぶりに再会したときカツラでふさふさ頭になっていて、かつて仕事で何度も会っていたのに、向こうから名乗られるまで気付かなかったこともある。
きっと「自分を壊したくない」気持ちもあるのだろうか。オジさんたちは薄くなった頭や出っ張った腹を気にしつつ、よっぽどのことがない限り、イメージチェンジには踏み切れないのである。
私なんて…。カーリーヘヤーにオーバーオールを履いていた、若かりし頃の姿を想像されるだけでイヤなのに。
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