及川眠子 Diary日記風エッセイ「ムカつく私がバカなのか、それとも世間が悪いのか」
 
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2007年4月3日(木)
■ 20.読書ノート 3月

 昔から「感想文」が非常に苦手である。
 コピーライターもやったし、今もこうやって詞や文章を書く仕事をしているけど、何かを説明するのがすごく下手なのだ。
 人のことをあーだこーだ言うのは得意である。ささいなことに「それは変とちゃいまっか」とつっこみを入れるのも結構好き。
 でも、本や音楽や映画や、あるいは料理や風景や歌唱力などにも、感想を求められると、途端に「あわわ…」となってしまう。何を褒めていいのか、どこを貶せば納得してもらえるのか。好きとか嫌いとか大雑把には言えても、一つ一つを細かく抜き出して、それに対する意見を述べることができない。
「とてもまろやかで、口当たりもよろしく…。まるで、大草原に咲く可憐な少女みたいな味や〜!」
 彦麻呂のようにはなれない私。テレビのレポーター、特に美食と温泉モノには、私を起用しないでいただきたい。

 それに比べて、新聞や雑誌で書評を書いている人は、やはりうまいよなぁ。限られた文字数の中で、この本のどこが面白いかとか、なぜこの本を読むべきかとか、簡単なあらすじとともにちゃんと書かれていて、感心する。時には書評を読んで、すぐさま本屋に走ってしまうこともある(だけど、裏切られたと思うこともしばしば)くらいだ。
なので、毎月書いているこの『読書ノート』も、読書好きの人の参考には全然ならないと思う。
「へえ…。及川眠子ってこんな本を読んでるんだ」
くらいの軽い気持ちで、まるで他人の本棚を覗く感覚で読み流してもらえたらと願う。
もちろん、私が選んだ本を読んだからと言って、作詞家にはなれない(おそらく絶対に)と思うので、そこらへんもよろしくね。

 さて、2007年3月に読んだ本。

  1. 右翼と左翼/浅羽通明
  2. イラク 爆撃と占領の日々/豊田直巳
  3. 世界屠畜紀行/内澤旬子
  4. 夜露死苦現代史/都築響一
  5. 東京人生/荒木経惟
  6. インド第三の性を生きる―素顔のモナ・アハメド/モナ・アハメド、ダヤニタ・シン
  7. 迷子の自由/星野博美
  8. センセイの書斎/内澤旬子
  9. ヒジュラ―インド第三の性/石川武志

10.不可触民と現代インド/山際素男
11.トオサンの桜―散りゆく台湾の中の日本/平野久美子
12.満足死/奥野修司
13.超・格差社会 アメリカの真実/小林由美
14.変態(クィア)入門/伏見憲明
15.リクルートのDNA―起業家精神とは何か/江副浩正
16.のりたまと煙突/星野博美
17.霧のなかの子―行き場を失った子どもたちの物語/トリイ・ヘイデン
18.美味しんぼ 98/雁屋哲、花咲アキラ
19.運命の色―カラーセラピー&ソウルカラー・テスト/泉智子
20.やせる旅/都築響一
21.ロマンチックウイルス―ときめき感染症の女たち/島村麻里
22.マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで/橘玲
23.清水ミチコの「これ誰っ!?」/清水ミチコ
24.本人の人々/南伸坊
25.ヴィーナスという子―存在を忘れられた少女の物語/トリイ・ヘイデン
26.イラク自衛隊「戦闘記」/佐藤正久

 今月はヒット本多し。
まず『世界屠畜紀行』。生き物(主に牛や羊、豚などの家畜)を解体する作業を見に世界各地に行き、その模様をイラスト付きで紹介している本。
BSE問題とか鳥インフルエンザとか、食肉に対して非常にナーバスにならざるを得ない今日この頃。だけど、日本の食肉産業がいかに安全性に重きを置いているかが、この本を読めばよくわかる。これはおススメ。

 次に『夜露死苦現代詩』。ボケ老人がふと呟いた言葉や、暴走族の戦闘服に書かれた言葉などなど、詩人が書く言葉だけが詩ではないという観念のもと、いろんな「現代詩」を紹介している。
同じく都築響一著『やせる旅』も面白い。ただ、痩せるという口実のもと、いろんなところに行って楽しんでいるとしか思えない内容に、軽くシットした。私も行ってみたい! 
顔マネ本2冊も傑作。『清水ミチコのこれ誰っ!?』は爆笑。『本人の人々』は大爆笑。
ほかには、『ヒジュラ―インド第三の性』『トオサンの桜』もおススメ。非常に丁寧な取材によって書かれたノンフィクションである。何でもないような日常を、美しい写真と文章で綴った『迷子の自由』もいい。

 あと、とても久しぶりにトリイ・ヘイデンの著作を2冊読んだ。
だけど何年経っても、トリイ・ヘイデンの本に登場する子どもたちは変わらない。それよりも、もっと問題が深刻になってきてしまっている。ダメな親と愚かな大人たちの犠牲になっている子どもたちを、一人でも増やさないようにできる社会をつくることは、難しいことなのだろうか。
『ヴィーナスという子』のエンディングでは、つい号泣してしまった。たとえどんな境遇に生まれついたとしても、すべての子どもは、幸せになる権利がある。


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