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何を隠そう。
韓流ドラマ『冬のソナタ』がまだあんなにブームになる前。
主題歌の『最初から今まで』を、初めて日本語でカバーしたのはやしきたかじんである。
NHK・BSで放送が開始され、これはもしかしたらヒットするかもしれん、という状況のとき。日本語で歌わせたら面白いんじゃないかということで、やしきたかじんの久々のシングル曲として、この歌がピックアップされた(シングルのタイトル曲になったのは、『My Memory』の方だったが)。で、その日本語詞の仕事が私にまわってきた。つまり、日本でいちばん最初に、冬ソナものの詞を書いたのは私である。
また、『マツケンサンバ』がまだあんなにヒットする前。
もともと『マツケンサンバ』は、松平健がステージで歌っていた曲。派手な衣装とパフォーマンスが売りで、「マツケン」シリーズはサンバ以外にも数曲ある。その中の『マツケンでGO!』は、私の作詞。
なぜ私に作詞の依頼が来たかと言うと…。当時松平さんの奥さんだった、大地真央の仕事を私がしていたから。夫婦つながりで私のところに仕事がまわってきたというワケだ。
『マツケンでGO!』を書いたときには、まさか後々マツケン・ブームが来るとは予想だにしなかった。
さらに、夏川りみが『涙そうそう』でブレイクする以前にも。
彼女はかつて星美里という名前で演歌歌手として活動していたが、あまりパッとしないでいた。その後、事務所やメーカーを代わり名前も変えて、ポピュラー歌手として再出発ということに。で、その再デビュー曲『夕映えにゆれて』の詞を、私が手掛けた。
もともと歌唱力もあったし、いい楽曲にめぐり会えば売れるんじゃないかと思っていたが、残念ながら『夕映えにゆれて』ではイマイチ。でも、地元からじわじわと売れていった『涙そうそう』は、結果的に大ヒットにつながった。
あきらめないで続けていれば、いつか必ず花は開くという、その典型的な例である。
そして、つい最近のこと。
去年の紅白歌合戦で歌われて話題となった、秋川雅史の『千の風になって』。年が明けてからどんどんCDの売り上げを伸ばし、クラシック関係の楽曲ではとうとう『もののけ姫』を抜いたらしい。今やテレビで秋川雅史を観ない日はない、というくらい本人も売れっ子である。
その大ヒット曲『千の風になって』の一作前に出たアルバム。『ドリーム・オブ・ラブ』というタイトルなのだが、これの全作詞を手掛けたのが、なんと及川である。
つまり、何を言いたいかというと…。
ブームの陰に及川あり。私は人に「運を呼ぶ女」だということだ。
でも、言い換えれば…。及川自身は大した作詞家ではないので、自力でヒット曲は出せない。だが、一緒に仕事をすることで、アーティストの運の花がぽんと開く。これは一種のあげまん?
「いやぁ。何らかのかたちでブームに絡んでる。やっぱり眠子さんって、不死身だわー」
以前、冬ソナとマツケンもので、クレジットに私の名前を見つけてしまった友人が放った言葉である。
最近はヒット曲もないし、どこかでのたれ死んでいるのかも…と思った瞬間に、いつも意外なところで、私の名前を見ると言っていた。今回は秋川雅史じゃ。まさかクラシックもので、私の名前を見掛けるとは。どうだ、予想もしてなかっただろ。
私の友人に「人に宝くじを買ってあげると当たる」という女性がいる。自分に宝くじを買っても絶対に当たらないけど、人に買うと当たる。それは要するに、誰かに誰かを紹介すると、その紹介された人同士が一緒にやった仕事がヒットしたり、強い絆が生まれたり…。
また、彼女は一種の「目利き」で、彼女が仕事を依頼した人は何年か後には必ず売れる。しかし、そんな「宝くじオバさん」なのに、本人は決して得をしない。
私の場合、彼女とはチト違って、あとあと自分も得をしている。決して己れの手柄ではないけど、身を削ることもなく、まさに棚ぼた状態で小銭を稼がせてもらったことも多々。
そう言えば、安室奈美恵がまだスターになる以前。スーパーモンキーズというグループに詞を書き、安室が売れたときにその楽曲がアルバムに入ったお陰で、やはりそこそこ儲けさせてもらった。
考えてみれば、及川の人生はほんとにラッキーの積み重ねであった。
Winkのときも、別の作詞家に決まっていたのが、その人が忙しかったため、フジパシフィック音楽出版に所属したてだった及川(『愛が止まらない』は、フジパに所属して1作目の仕事である)にまわってきた仕事。
エヴァンゲリオンも、やはりほかの作詞家に依頼するつもりだったのが、たまたま私のマネージャーが通りかかってゲットした仕事。
自力で出したヒットは、やしきたかじん『東京』くらい。しかも、この楽曲は小ヒット。対するWinkやエヴァはブーム。私の力量がよーくわかるというものだ。
本来なら、5年程度で消えている作詞家。なのに、20年以上も音楽業界をウロウロしている。なかなかの強運。友人が「眠子さんは不死身」と言ったのもうなずける。
運も実力のうちとは言うけれど、実力があっても運がない人はいっぱいいるもんなー。きっと私の前世が功徳をたくさん積んでくれたので、現世に生きる私が得をしているんだろうと思う。…来世は地獄かもな。
とりあえず前例を挙げると、最短で1年、最長では7年かかったが…。及川が絡んだ歌手やアーティストは、後々結構いい確率で売れている。
長ぁーい目でヒットやブームを作りたいと思っている人。運を呼ぶ女、及川にぜひ仕事の依頼を!
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