及川眠子 Diary日記風エッセイ「ムカつく私がバカなのか、それとも世間が悪いのか」
 
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2007年3月3日(土)
■ 14.読書ノート 2月

大学生の1ヶ月の書籍代は2650円だそうだ(大学生協連『学生生活実態調査』)。これって授業で使う本や雑誌も入れての金額なんだろうか。だとしたら、今どきの若者は本当に本を読まなくなっているんだなぁ。

私はべつに「読書が趣味」というわけではない。むしろ義務感に似た気持ちで本を読むことが多い。
知り合いの作詞家が、人から趣味は何かと訊かれ、
「そうですねぇ。趣味というものは特にないんですが…。強いて挙げれば、音楽鑑賞かな」
と答えたのを聞いて、「バカっ!それは趣味じゃなくて仕事じゃ!」と思ったことがある。

音楽を生業にする人間にとって音楽を聴くことは、ジャーナリストが取材をするのと同じ。弁護士が六法全書をめくるのと同じことである。アマチュアじゃないんだからよぉ。
同じく読書も、言葉を扱う職業にある者にとっては、いわゆる「お勉強」の一環だ。本を読んだりCDを聴いたりして、自分の中の引き出しを少しでも増やすことが必要である。だから、それに金と時間を費やすのは当然のこと。直感とかセンスとかだけで続けていられるほど、甘い仕事じゃないのだ。

ただ、作詞家は作家やライターとは違って、読んだ本をもとに何かを書くという仕事は滅多にない。だから私も、より多くより早く読むことはしてこなかった。
私の場合、とりあえず「これ読んでみたいなー」と思う本を手当たり次第買って、1ヶ月の書籍代はだいたい3〜5万円(ちなみに、先月は47325円だった)。本代なんてたかが知れている。
何もアプローチをしないままだと、人も何も教えてはくれない。自力で知恵を得るのは大変なことである。だけど本は、とりあえず「読む」という行為だけで何かを与えてくれる。若者よ、もっと本を読もう。

ちなみに、私の趣味は「買物」である。

さて、2007年2月に読んだ本。

  1. ザ・ペニンシュラ・クエスチョン-朝鮮半島第二次核危機/船橋洋一
  2. 恋って苦しいんだよね/永沢光雄
  3. 金門島流離譚/船戸与一
  4. 私の中に答えはあるか/内田春菊
  5. ブコウスキーの3ダース/チャールズ・ブコウスキー
  6. 東京R不動産/東京R不動産
  7. 物乞う仏陀/石井光太
  8. 仮面集団/山崎豊子
  9. 獄窓記/山本譲司
  10. 舞姫テレプシコーラ 10/山岸涼子
  11. オトコ・ウォーズ/岩井志麻子
  12. おとなのおりがみ/アル中Masa
  13. ナツコ-沖縄密貿易の女王/奥野修司
  14. 壊れたおねえさんは、好きですか/中村うさぎ
  15. 転がる香港に苔は生えない/星野博美
  16. 嘘つきアーニャの真っ赤な真実/米原万里
  17. こんな夜更けにバナナかよ-筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち/渡辺一史
  18. 花のオンナ道/倉田真由美
  19. 気になる部分/岸本佐知子
  20. 自壊する帝国/佐藤優
  21. 不都合な真実/アル・ゴア
  22. 間取りの世界地図-暮らしの知恵としきたり/服部岑生
  23. ねにもつタイプ/岸本佐知子

名インタビュアーであった永沢光雄が亡くなったのは、去年の11月。
私はもろちんご本人とは面識はなく、彼がインタビューと文章を手掛けた『AV女優』(1刊と2刊が文庫で出版されている)を読んでからの、ファンの一人である。
当初単純に興味本位で手に取った『AV女優』は、ひどくせつなく、それでいて一生懸命に生きようとしている女の子たちの姿をいきいきと捉えている。何よりも、彼女たちを映す永沢光雄の視線がとても優しく、慈愛に溢れていた。これ以上に心を打たれたインタビュー集を、私はかつて読んだことがない。興味がある人は、ぜひ読んでみてほしいと思う。
その永沢光雄が、亡くなる2年前まで雑誌に連載していた短編小説をまとめたのが『恋って苦しいんだよね』である。
しかし正直に言うと、彼が書いた小説は『AV女優』ほどの感動は得られなかった。ただ、もう一度彼のインタビュー記事を読みたかったなと思う、せつなさと悔しさみたいな感情が心に残っただけである。

この本をきっかけに、小説を何冊か読んでみた。ずいぶん前に買ってあって、読まずに置いていたものもある。時には面白いものと思える小説にも出会えるけど、私はやはりノンフィクションの方が好きだな。

何の先入観もなく読んで、「ああ面白かったぁー!」と思えた本は、たいてい何らかの賞を取っていることが多い。逆に言えば、多くの人のツボにはまる評価の高い作品は、やはり読む価値もあるってことだ。
そんな理由もあって、2月後半は賞(主に大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞)を取った作品の中で、今まで読みはぐれていた作品を読んてみた。『ナツコ-沖縄密貿易の女王』『獄窓記』『転がる香港に苔は生えない』『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『こんな夜更けにバナナかよ』『自壊する帝国』の6冊。
しかし、最初に「賞を取ったから面白いはずだ」という先入観があったからなのか、どの作品も期待していたほどの感動はなかった。やっぱり期待しすぎちゃいけないのかも。

話題のアル・ゴア『不都合な真実』も、以前に『百年の愚行』や桃井和馬『破壊される大地』を読んでいなければ、もっと驚愕しただろうしショックも大きかったはず。
あと、軽めのエッセイも何冊か読んだけど、正直言ってイマイチ。
そんな中でヒットだったのは『おとなのおりがみ』。時々テレビでも紹介されているので、知っている人も多いだろうと思うが、「お札で折るおりがみの作品集」である。自分でも折ってみようとは思わないが、おりがみの見本やそのネーミングだ けでも結構笑える。
これはと思える本に出会える確率は、なかなか少ない。だから、読み続けるしかない。

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