及川眠子 Diary日記風エッセイ「ムカつく私がバカなのか、それとも世間が悪いのか」
 
<< 前のページ  |  次のページ >>
2007年2月20日(火)
■ 11.女に甘い時代

 もう世間の議論もずいぶんと下火になっているが、柳沢大臣の「女性は子供を産む機械」発言。このあいだ、私より一回り年上の女性と会ったときに、その話になった。
  彼は「自分の本音がつい出ちゃった」というだけで、言った内容自体はそんなに間違っていない。むしろ彼が言ったことは、多数の男性が抱いている価値観なのではないだろうか。…てなことを言ったら、彼女もそのとおりだということで盛り上がった。
  女のくせに(しかも、私自身が子供を産んでいない不良品か産業廃棄物みたいなもの)、男尊女卑な考え方をするヤツの味方をするのかと言わそうだが、べつにそう受け取ってもらっても構わない。私は自分が女でありながら、いったいいつから日本はこんなにも女に甘い国になったのか、と思っている一人でもあるからだ。

 もう30年くらい前になるだろうか。確かインスタントラーメンのCMで、「キミ作る人、ボク食べる人」というキャッチコピーが問題になったことがある。
このとき「作る人」(秋川リサだったと記憶している)と「食べる人」(佐藤佑介だったっけ?)のキャスティングが、フェミニストたちのカンに触ったようだ。つまり、女がメシを作り、男はそれを食べるだけという構図が、悪しき習慣に基づいた男尊女卑的考えであるというわけだ。

 侃々諤々の結果、このCMは打ち切られてしまったが、私は子供心(いつの頃かが曖昧なので、もしかしたらもう子供ではなかったかもしれない)に「ウーマンリブ運動ってバカみたい」と感じたのを覚えている。
べつにいいじゃん、どっちがメシを作ろうと。家事全般を女が担当することで、抑圧されていると感じる方が、何となく不自由な気がしてしまう。
「亭主元気で留守がいい」は男性蔑視でも何でもなくて、女がインスタントラーメンを作ったら問題になる。不思議な価値観だ。
思えば、このインスタントラーメンのCM問題の頃くらいから、日本はやたら「女性を慮る」時代に突入していったのかも。

 男女雇用均等法が設置されて約20年。男女同権だ、女も社会に出て働くのが当たり前の時代だ、と言われて久しい。それでも男の中に「女がバリバリ働く」ことに対して、わだかまりみたいなものが残っているのは決して否定できないと思う。
「俺は、頑張って働いている女の人が好きだよ」
そう言う男も、もちろんいる。恋愛期間中なら、双方が仕事を持っているのも、さして特別なことではない。
だけど結婚して、自分の女房が働くことに賛成をしている理由の大半は「生活のため」ではないだろうか。現に「俺に甲斐性がないからなー」なんて理由で、女房が働いていること(女房を働かせている、という方がいいのかもしれない)を言い訳する男たちも結構いる。

 男がしっかり働いて、経済的な問題が何もない状態で、果たして女房が外に出て働くことを全面的に賛成できる人が、今の世の中に何パーセントいるだろう。また、働くことには賛成であっても、ちゃんと家のことはやってもらわなきゃとか、正社員じゃなくパートでもいいんじゃないのとか、そういうことを暗に要求する男はきっと多いはずだ。
さらに、女房の収入が自分より多かった場合。それを何とも思わず受け止められるだろうか。

 稀に、本当に稀に、自分より「上」の女の人が、本心で好きな男に出会うことがある。
「私たちは男女の区別なく同等です!」
みたいな宣言をする人は男にも女にも多いが、自分より目上の女の人が好きと言いきれる男はなかなかいない。でも、中にはいるんだな。
そしてはっきり言って、そういう男はたいていズルい。女を隠れ蓑にして自分は好きなことだけをしようと思っていたり、優しくて理解のある「立派なダンナさん」を世間にアピールしようとしていたり、まぁ何かしらの裏心があるわけだ。もしくは、女の肩書きで見栄を張るダメな男、とかね。

 ズルい男が悪い男だとは思わない。私自身はそんなズルい男の方が、むしろ一緒にいて気が楽。だって、仕事は好きだし、うんと稼ぎたいと思っている気持ちを、男のエゴなどに邪魔されたくないからね。
男のズルさと女のズルさ。それがピッタリはまってこそ、何の気兼ねもなく女が働ける状況を作れるのではなかろうか。

 また、女の方も「頑張って働いてキャリアを積みたい」と考えている者ばかりではない。
できれば男に養ってもらいたい。でも、全面的に頼ると卑屈になってしまいそうだから、しんどくない程度に仕事をして、自分の欲しいものくらいは自分で買いたい。…ってな感じじゃないのかなぁ。
経済的に何の不自由もなく、自分のプライドがきちんと守られて、退屈しなくてすむ人生。そんな人生をおくれたらと思っている女は、実は結構多いと思うよ。
そして、そういうものを女に与えてあげられる甲斐性のある男たちは、ちゃんと家を守っていい子供を産んでくれる女を、本音として欲しているんじゃないだろうか。
それは言い換えれば、優秀な「家政婦」であり、自分の種を繋ぐための「機械」が欲しいっていうことと同じ。言い方は悪いけどね。

「結婚後も女優業は続ける予定」
ワイドショーや女性誌などで結婚ネタが上げられるたび、必ずと言っていいほど、女性側の「結婚後の身の振り方」が補足される。
「ご結婚後はどうされるんですか?」
キャスターたちも決まってそう尋ねる。つまり、女には「結婚すれば家庭に入る」という前提が未だに根強くあるから、当然のごとくそういう質問がされるわけだ。さすがに陣内智則と藤原紀香の会見では、こんなことを訊くヤツはいなかった。それはなぜか、理由は明確であろう。

 自分たちの性を機械に喩えられたのがムカつく、というのはわかる。
しかし、つい口を滑らせちまったオヤジの一言を拡大解釈して、そこから男尊女卑だ抑圧だなどと、大層に騒ぎ立てるのはどうなんだか。また、それをご親切にフォローしているメディア。女に優しすぎやしないか。
女はね、ちょっとくらい厳しい状況の方が、優秀な人材が育つんだよ。

 誰だって1900億円の財産を持った石油王と結婚して、何不自由なく専業主婦をやりたいと思わないか。その石油王のためなら(って言うか、結果的には自分のためなんだけど)家政婦にでも介護士にでも、子どもを産む機械にでもなってやるし、人からそう言われたって平気だろう。
元プレイメイトのバカ面をテレビで観ながら、甲斐性のある男ほどこういう女が好きなんだよなぁ、とフト思った今日この頃。
っつーか、1900億円の遺産があれば、そんなこと自体もうどうでもいいよな。

<< 前のページ  |  次のページ >>
  最新情報 メール 及川眠子公式サイトHOME