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今日、家の近所のイタリアン・レストランでランチにラザニアを食べたら、夕方になっても胃もたれが治らず、仕方ないので1時間ほどそこいらを歩いて、やっとのこと腹をこなした。
決して量が多かったわけでもないのに、体が「もう若くないんだからほどほどに」と言ってるみたいだ。
ああ、悲しいなぁ。
30代まではどれだけ油っこいものを食べても平気だったのに、最近はちょぴっとしか食べられなくなってしまった。いつもよりちょっと多めに食べると必ずその後胃もたれを起こしてしまう。
私は作詞家一本で食えるようになるまでリクルート関係の会社に勤めていたのだが、その頃ランチタイムには週一で必ず行くカレー屋があった。
ごはんにそぼろ状のカレー(今で言うキーマカレー?)がかかっているというもので、当時はまだ珍しかった。
ただ、量が少なくて、いつも「大盛り」を頼んでいた。大盛りでさえ時には物足りず、ランチの帰りに近くのパン屋によって菓子パンを買ったものだ。
リクルートを辞めてから、そのカレー屋には行くこともなくなったのだが、このあいだ近くまで行ったときにふと思い出して寄ってみた。
ここのカレーは量が少ないからね。
15年前と同じ気分で大盛りを注文し、そして・・・・・・結果、食べきれずに半分近く残してしまった。
いつのまにか、時が私を普通盛りの人間にしてしまったのね。
まぁでも、今思い出せばあの頃の食欲はちょっと異常なくらいだったもんなぁ。
普通はどんなに食べると言っても、せいぜい20歳前後くらいまでなんだが、私の場合は30を過ぎても人よりたくさん食べていた気がする。
定食でも麺類でも、とにかく頼むのは大盛り。ごはんと味噌汁はお代わり自由なんていう店に行けば、必ず3杯はごはんをお代わりした。
本人が「ストップ」と言うまで、延々と出てくる串揚げ屋に行けば、
「もういい加減にやめない?」
人にそう注意されるまで食べ続けたものだ。
「あんた、よく食べるねぇ。見ていて気持ちがいいよ」
厨房のオヤジに、よく褒められたものである。呆れられたという方が正しいか。
しかし、そんな私でもいつかごはんをお代わりすることもなくなり、大盛りを注文することも滅多になくなった。バイキングだから時間制限いっぱい食べなきゃね、というような攻撃的な気持ちもすでにない。
「若い子はたくさん食べるから、見ていて気持ちがいいわぁ」
いつか自分が、かつての厨房のオヤジになってしまった。
私の周りには小食の人が多い。
「すっごくおなか空いた」
と言っていたのに、おでんのチクワとこんにゃくと大根を食べ、
「ああ、もうおなかいっぱい」
という、信じられないような小食の人もいた。
そういう人たちは、おでんのあとに焼きうどんと焼き鳥数本を食べ、そのあと野菜スティックとピザをつまみに酒を飲み、そして、家に帰ってからまたインスタント・ラーメンを食べる、というような私を見ては、
「たくさん食べられる人って、人よりもパワーが強いのよね」
という感じで羨ましがった。いや、羨ましがるふりをしていただけだろうか。実は心の中では、
「こいつバカみたいに食いやがって、満腹中枢器官がイカレてるんじゃねぇか」
軽蔑していたか、同情していただけかもしれない。
そんな大食らいの私が、今や普通盛りの日々である。おまけに胸やけ、胃もたれである。
「あんたの腹はブラックホールか?」
とまで言われた頃が懐かしい。
「そんなに食べて、よく太らないね」
とも言われたものだ。実際、私の体重はここ20年間ほとんど変わっていない。
って言うか、昔より食べる量は全然減ったのに、痩せることさえない。おそらく代謝が悪くなったせいだろう。
そう言えば、いっぱい食べていた頃は、食べること自体が楽しかったなぁ。今も美味しいものを食べるのは大好きだけど、食べることそのものにはさほど執着を抱かなくなった。
とにかくケーキが大好きで、暇さえあればケーキ屋を覗いている友人がいる。彼女はもともと小食だったのが、病気をしたあと今まで以上に小食になり、
「食べたいのに、全部食べられないのがほんとに悲しいのよね」
だから、せめて目で楽しむことを覚えたと言っていた。
でも、私はまだそこまでは行ってない。たとえ腹をこわそうが今食ってやる、という気持ちがある。そして、そのあと必ず後悔をする。
普通盛りになっても、本来持っているいやしさは変わらないってことか。
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