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2006年5月18日(木)
25.「運気」の行方

 及川は今年と来年、天中殺である。
 誰にでも12年に2年間(細木数子の大殺界だと3年か)、運気の定まらない時期がまわってくる、というアレである。果たして、それが当たっているのかどうなのかはわからないが、人によってはボロボロになっちゃうことだってあるらしい。
 この時期は引っ越しや結婚、会社を興したりお店をオープンしてみたり、いわゆる「新しいこと」に手を出すのはやめろ、と言われる。今までやってきたことを続けるのは、全然OKだそうだが。とにかく目立たず欲張らず、大人しく過ごしているのがいいらしい。

 なもんで及川、今年と来年は派手に物事を起こすのは控え、ひたすらマイペースにのんべんだらりと過ごそうと思っていた。
 ところがどっこい。
 天中殺の声を聞いた途端、何だか妙に忙しくなってきてしまったのだ。
 べつに仕事がばんばん増えたわけではない。身内に変化があったわけでもない。また、急にモテはじめたというわけでもない。なのに、いつもバタバタしているのである。
 なんでや?

 振り返れば、ここ何年か。過去の財産(以前に書いた作品ってこと)が非常にうまいこと小銭を運んでくれた幸運も手伝って、経済的にも切迫せず、仕事に対してもさしてやる気がなかったので、来る仕事だけを淡々とこなし、まるで隠居生活のような日々であった。
 昼頃起きてごはん食べてテレビ観て、夜になれば晩ごはん食べてテレビ観て、風呂入って本読んで寝る、というのが及川の日常。有意義なんだか無益なんだかよくわからない、そんな日々の繰り返し。あっと言う間に40代半ばになっておった。
 このまま一生低空飛行で終わるかな。まぁでもそれもいいかな、と思っていたのに、日に日に慌ただしさが増してゆくばかり。
 と言っても、普通の人に比べたら全然暇なんだろうけど。毎日8時間以上きっちり寝ているしね。ごはんを食べる時間だって、ちゃんとある。ごはんを食べたあと、歯を磨く余裕もばっちりあるさ。

 さらに、振り返れば。前回の天中殺は1994年と95年ってことなんだけど。その時期に私は『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌でどっかーんとヒットを出している。今の会社を立ち上げ、家を買ったのも同じ頃であった。
 占い師をやっている友人に言わせると、天中殺ってのは悪いだけではないらしい。「運気が定まらない」というだけで、今まで何事もうまくいかなかった人が、急にサクサクと人生がまわりだすってこともあるのだそうだ。
 はぁー、深いなぁ…。

 しかし、なぜ私がこのところ忙しくなったのかは、未だに自分自身でも理解できていない。仕事量は全然増えてないし。
 ただ、今まで頭の中だけにあった企画が、少しずつかたちになってきたことと、自分を入れ込める仕事が今いくつかある、ってのは確かかなー。
 私は「これはやりたい!」という仕事があるときには、ほんとに四六時中ずーっとそのことを思っている。一人の歌手にのめり込めば、いつだって彼に彼女に何を歌わせればいいのかということを考えている。
 つまり、頭が忙しくなるのだ。

 そして、その忙しさの相手が「音楽」だった場合は特に、ほかのことが何もできなくなってしまう。
 本を読んだり、こうやって文章を書いてみたりするのは、脳みそにゆとりがあるときだけ。音楽の仕事に夢中になっているときの気晴らしは、むしろ買い物だったり家の掃除だったり、あんまり頭を使わないようなことばかり。テレビでさえほとんど観なくなる。
 そうやって考えていくと、ああ私はやっぱり音楽の世界の人間なんだなぁと実感するのだ。
 私は作詞という作業において、自分の伝えたいことや書きたいことはすべてやれてしまうので、あえて自己主張に近いような文章を書きたいとも思わなくなる。自己完結ができる場所に置かれると、それ以外のことが億劫になってしまう、という方が正しいか。

 てなわけで、今年になってからは、このDairyも以前のようにマメに更新しなくなってしまった。ま、忘れ去られない程度には書いていくつもりだけどさ。なんせ忙しいんだよ、頭の中が。
 天中殺にハメられた運気がどのように変化していくのかは、これからの楽しみ。何もないかもしれないし、ただの気分だってこともあるし。年をとって体力もなくなって、自分が緩慢になったのを「忙しい」と勘違いしているだけかもしれないし。
 もともとそんなに占いを信じているわけでもないのに、こんなときだけ天中殺を持ち出すのも何だかなぁと思うが。

 とりあえず、更新を怠っている言い訳として。どうかひとつ。




 
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