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永遠の住み家を見つけられる日は、いつか来るのか…?
及川は現在「持ち家一戸建て」に住んでいる。約10年前に衝動的に買ってしまい、あと25年間ローンが残っている。ひぇぇー。
それまでは2LDKの賃貸マンションに住んでいた。場所的にも気に入っていたのだけど、どうにも狭くなってしまい、引っ越しせざるを得なくなったのである。そのときのマンションは76平米であった。
私の周りの一人暮らしの女性はだいたい40平米前後の部屋に暮らしている。それで充分だという人がほとんどである。なぜ76平米もあって狭いのかというと、荷物が多いからである。なぜ荷物が多いのかと問われれば、こちらも理由は簡単。物を買うからである。
さらに、母親が頻繁に上京してきて、うちに居着くようになっていたのも、狭くなった原因である。
そのときの家賃は、駐車場込みで月額295000円。
ちょうどエヴァンゲリオンのヒットでぶいぶい言わせていた頃だったので、経済的にも余裕があった。もちっと家賃の高いところに引っ越ししても大丈夫だろうと、不動産屋を当たることにしたのだが…。
その頃とても仲良くしていた、私より何歳か年上の独身女性がいた。彼女はちょうどマンションを買ったあとで、家の話になったときにこう言い張った。
「ダメよ、眠子さん。高い家賃を払って賃貸に住むより、ある程度の頭金があるなら、買っちゃった方がいいわよ!」
なぜなら、一人暮らしの女性は家主が敬遠して、いいところほど貸してくれないからだそうである。要するに、ずっと住みつかれて出て行ってくれない。おまけに、自然死なんてされて腐乱遺体で見つかった日にゃ、そのあと永遠に借り手がなくなると恐れてのことである。
実際に私の友人(私より一回りくらい年上)も、気に入ったマンションを借りようとしたところ、
「その年齢で独身というのはちょっと…」
と断られた話を聞いたところであった。
そおかぁ。やっぱりこの際だから買っちゃう方がいいのかぁ。
及川はわりと単純にできている。さらには、方向転換も結論も早い。ついでに、思い立ったときの行動もめちゃくちゃ早い。早速マンション探しに取りかかった。
しかし、そこでまた別の友人からの忠告。
「ダメよ、眠子さん。マンションなんて地震が来て倒壊すれば、あとは借金しか残らないわよ。どうせ買うのなら、やっぱり土地付き。土地さえあれば、たとえ地震で家が全壊しても、そこにプレハブを造って住めるわよ!」
及川はとても単純にできている。
そおかぁ。やっぱり一戸建ての方がいいかぁ。
でも、さすがに一人暮らしで一戸建てという大層なものを持つのは…、と少しだけ躊躇していたら、母親がその友人の言葉につられるように、
「一戸建てがいい!」
組合をつくるくらいの勢いで連呼しやがった。
朝起きたら、リビングのテーブルの上には売り家のチラシのみが置かれていて、マンションのはとっとと処分されている。ほかにチャンスを与えない、というような状況である。
結局、その勢いに押されるように一戸建てを買ったわけなのだが、いざ住み始めて1ヶ月も経たないうちに後悔。一戸建てはとにかく寒いのである。
また、管理も大変。風が吹けば玄関口に落ち葉がてんこ盛りになっているなど、家の中だけでなく外側の掃除もしなければならない。
回覧板をお隣に持っていくだけでもうざったいのに、何ヶ月に一度の割合でまわってくる「掃除当番」。つまりゴミ置き場の掃除をご近所で交代でしましょうね、ということなのだが、こういう些末な雑用が非常に面倒くさい。
母親がこっちにいる間は、そういうことはすべて任せられるが、一人になったとき、特に仕事が忙しいときなど、キレそうになる。なんで一戸建てなんか買っちゃったかなぁと思うことしばしばである。
ローンは限度きっかり35年。70歳になるまで延々払い続けなければいけないかと思うと、それもまた気が重い。
それはそうと。
以前借りていたマンションを解約するときに、不動産屋になぜ引っ越しするのかと訊かれて、前述の理由(年をとった独身女性には貸し手がない)を述べたところ、
「それはあくまでお勤め人の例ですね。及川さんのような職業は定年というものがないし、印税は一生入るものという認識が家主さんの方にもありますから、貸し手はいくらでもありますよ」
あっさり言われた。おいおい…。
貸し手がない。よって購入。地震での倒壊に備えて一戸建て。という、あまりにも短絡的な発想で一戸建てを買い、とりあえず10年住んだのだが、「ああ、よかった」と思ったことは、実は一度としてない。明日にでも賃貸マンションに代わってもいいと考えているくらいだ。
次は絶対にマンション。それも気に入らなくなったらすぐに引っ越せる、賃貸マンションで充分である。
しかし、76平米から現在の約130平米になり、受け皿の分だけ荷物も扶養家族も増えた今。それに敵う物件が、果たしてあるのかどうかも疑問である。
それよりも、この荷物。またどこかへ運ぶことを想像すると、ものすごーく気が重くなる。
あと25年残ったローンとマンションを秤に掛けて。さて、どっちを選ぶか。
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