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面白い話を聞いた。
知人の取引先の社長さんの話だそうだが、新入社員の試験を行う際、合否を決める基準は、その個人の歩く速度と食事をする時間だと言う。
一応筆記試験や面接も行いはするが、その結果など大して問題にはしない。それよりも、人に比べてダントツに歩くのが速い人や早飯喰らいの人は、たとえ筆記試験の結果が悪かろうが合格させるらしい。
なぜかと言うと、歩くのと食事をするのが早い人は、仕事も早いからだそうである。
以前は人より長く会社に残っていて仕事をするのがよしとされた。しかし現在は、そんなことは言っちゃいられない。ずっと会社に残っていられると、そのぶん電気代などの経費が嵩むし、終電がなくなればタクシー代だって会社が払わなければいけなくなる。第一会社に居残っていても、本当に仕事してるんだかどうだか。
同じ量の仕事を5時きっかりに終わらせる人間と、8時までかかっても終えられない人間と、会社員に関わらず人には2つのタイプがいる。
不況長引く現代の日本。だったら、仕事が早いヤツの方がいいのである。いや、むしろ「お先にぃー!」と5時になったらさっさと帰ってしまう人間に対して、
「あいつはちゃんと仕事をしていない」
などと陰口を叩くような今までの労働意識の方が変だったのである。
及川はよく人から「マイペースののんびり屋さん」とか「おっとりしていて要領も悪そう」とか言われることが多い。見た目がそう見えるからなのか。完全な誤解である。
実際の私はすごーくせっかちで、めちゃくちゃ要領のいい人間なのである。仕事も早いし、歩くのも速い。料理や掃除をすれば、専業主婦を45年以上やってきたうちの母親より手際がいい。
まぁマイペースなのは認めるが、これは単純にノロマな人間には決して合わせない、ということである。
そんな私であるからして、当然ながらノロマな人とは気が合わない。と言うか、きらいである。見ていてイライラしてくるのだ。
私の友人にもそういう人が何人かいる。そして、そういう人たちに限っていつも「忙しい忙しい」と言っている。
忙しい忙しいと言うことで、まるで自分が優秀な人間になったつもりでいるのだろう。しかし、本当に有能な人間は、忙しいという言葉を一言も口にせず、ものすごい量の仕事をさくさくとこなし、こちらが頼んだことも忘れずにきちんとやってくれる。
それは仕事をしている人であっても専業主婦であっても同じである。
「自分が出来るからって、他人も同じように出来ると思ったら大間違いだからね!」
以前そのように人に責められたことがあった。要するに、出来ない者のつらさも理解しろってことなのか。
人間は誰しも自分と同じではないのはわかる。しかし、要領のいい私には、出来ない人間の出来ない理由がどうしても納得いかないのだ。
逆に考えれば、なぜ物事を手際よくこなせるかと言うと、一つのことをやりながら次にやることを考えているからである。私の場合は、10個くらい先まで自分がやらなくてはいけないことを、常に自分の頭の中で順序立てている。
そうするといちいち立ち止まって、「さて。次に何をやろうか」なんて考えなくて、すべてが流動的に進むのである。
また、突発的に入ってきた事柄でも、予めスケジュールを立てておけば、どういう順番でやっていけばいいのか、すぐに整理がつく。
さらに、その順序立てした仕事の一つ一つをいつまで何時までに終わらせるか、そういうこともきちんと決めておくと、それを目処に調整が出来る。
「明日まで…、いや、来週までには出来ると思います」
なんていうマヌケな返事をしなくてすむ、というものである。
それが出来れば苦労はしないって言いたいんだろうが、やっぱり出来る人間には、出来ない人間の回路が理解できないし、正直言って理解したくもない。
一時期私のマネージャーだった人は、突発的に仕事を入れるたびにパニックに陥り、今までやっていたことを途中で放り投げ、そこにさらに突発的に何かが入るとまたしても途中で投げ出すということのくりかえしで、結局すべてを中途半端なままにしてしまうというタイプであった。
そういう場合は、誰かが彼が投げ出した仕事を拾って歩かなくてはいけなくなる。人に迷惑をかけているんだということに、せめて気付いてほしいものである。
思うに、ノロマな人たちはゆとりがないことが多い。ノロノロやっているからゆとりがないのか、それとも全身がゆとりで出来ているのか。まぁ時間の使い方が下手なんだということだけは確かである。
こういう言い方をすると差別的に聞こえるかもしれないが、ノロマな人間は社会に出てきても人の邪魔になるだけである。家にこもって専業主婦(主夫)をやっていればいい。
また、そんなふうに言われてムカつくんなら、せめて努力をすべきである。
努力はしているんだけど要領の悪くてうまくやれない人間を、私はノロマだと言っているわけではない。自分は人よりおっとりしているから、だから仕方がないんだと自分を甘やかしている人間が許せないだけなのだ。
おっとりまったりな人間を「癒し系」などと呼んで、持てはやす側ももちろん悪い。
速く走れなくてもいい。速く走る努力をしろ、と言うことである。
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