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2005年12月14日(水)
95.ジゴロの被害者

 日本人女が「イエロー・キャブ」なら、日本人男は何なんだろうね。
 日本人女が各国でモテモテなのに比べて、悲しいかな日本人男はまったくモテない。小綺麗でお金も持っているし、さらに今どきの若い男の子はみんな優しいのに。どうしてなんだろうね?

 タイ在住の傭兵・高部正樹氏はタイ語が堪能なのだが、
「日本人の女の子をナンパするんだったら、おまえタイ語が喋れるんだから、タイ人のふりをして口説く方が落ちるよ」
 と友人から言われたそうである。
 さすがにそこまでして女の子と遊ぶのはバカバカしい。日本男児としての名誉がすたる、と高部さんは言ってたけど、ホントそのとおりである。

 ふと思い立って外国に行っちゃって、そこで出会った現地男と恋に落ち、人生を変えてしまった女性たちもいる。海外に出ずとも、今や日本にも外国人はたくさんいる。なんせ港区で出生する子どもの11人に一人が混血だっていうんだから、日本もずいぶんワールドワイドになったもんだ。

 しかし、その外国人たちが真面目な男だった場合はいいけれど、手練手管のジゴロだった場合は大変だ。
「私以外にもたくさん恋人がいた!」
「たくさんお金を貢がされ、そして捨てられた!」
 たった一度そういう目に遭ったことで、外国人イコール悪いヤツらという先入観の上で、すべての外人を否定してしまうような人に、私はかつて出会ったことがある。
 また、自分がそういう思いをしたから、ほかの人もきっとそうなるだろうという方程式でもって、「外国人には気を付けて」と忠告しまくる人も知っている。
 日本人とのイロコイ事情よりも、なぜか大袈裟になってしまうのだ。

 でもさぁ…。
 私はいつも思うのだけど、外国人に騙される人って日本人にも騙されるんじゃないの?
 借りた金を返さない。浮気ばっかりしている。根本的に嘘つき。…そんな日本人男はたくさんいるはずだ。なのに「日本人なんてもう信じない」なんて言う日本人に出会ったことはない。
 同国人に対しては目をつぶって、外国人に対してのみ攻撃的なのって明らかに変じゃないだろうか。悪いヤツはどこの国にもいるもんさ、ってことがなぜ理解できないのだろう。

 私もかつてひどい目に遭って、相手を恨んだり自分をなじったりしたこともあったけど、結局出た答えは「騙された自分が悪いんじゃん」。
 学習する機会を与えてもらうことで、人生は深みを帯びる。さらに私が人よりもっとラッキーなのは、それを肥やしに物を書いていけるということである。幸せだった時間も醜い姿も全部自分の中で浄化して、次の作品として世に出していける。だから、私は自分の経験から目をそむけない。
 また、恋愛に関わらず人生って実に落とし穴が多い。恋愛なんぞでめげていたら、まともに生きていけないのだよ。

 トルコの観光地にもたくさんジゴロがいる。日本人に限らず、ヨーロッパ人やアメリカ人の恋人を何人も抱えて、彼女たちから貢がせたお金で高級車を買ったり店を開いたりもしている男たちがいる。
 でも、私は彼らを否定しない。だって、それも生きる方法だと思っているからだ。ほかに売る物がない人間は、体を売るしかないからでもある。ただ、きちんと自分に誇りを持ってジゴロをやれよ、と言いたくなるのがほとんどなのだが。
 娼婦に比べてジゴロが妙に情けないのは、やっぱり自分のやっていることに胸を張っていないヤツらが多いからだろう。

 先程も書いたように、日本人男は女に比べて外国ではモテない。さらに、やっと出来た自分のカノジョをジゴロたちに寝取られちゃうことだって、きっと大いにあるはずだ。当然あぶれる男の率も高くなっていく。
 そういや。私自身もかつての恋人を捨てて、今の夫に走った。でも、彼は私をなじることもせず、相手を責めることもせず、すべて自分のせいだと受け止めて、私を行かせてくれた。そういう潔さが、日本男児としての美しさだと信じていたのかもしれないけれど。
 時には、自分を捨てて去った女に対して何も言わない、それこそ何の手も貸さない男の方が、こちらの気持ちが救われることだってある。

 先日、たまたま人から紹介された男性の話で、恋人を一人で海外に行かせたら、そのまま帰ってこなくなったということを聞かされた。どうやら向こうで滞在中に知り合った男と恋に落ちてしまったらしい。
「あの国の男なんて女を口説くことしか能がない、ろくでもないヤツらだ」
「そういうことをみんなに知ってもらうために、ホームページを作ったり、仲間を募ろうかと思っている」
 おいおい…。それってみっともなくないか。
 仮にその男が正真正銘のジゴロだったとしても、そんなことをしてあなたのかつての恋人は救われるのか。相手が求めてもいないのに、助けの手を差し伸べるのはよけいなことだ。

「それって、ただの未練じゃん」
 そう言いかけて、やっぱりやめた。もしかしたら、そういう行為こそが彼の現在の生きる糧になっているのかもしれないからさ。
 頑張れ、日本男児。




 
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