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2005年12月12日(月)
94.イエロー・キャブ

 うちのトルコ人がおもむろにした質問。
「日本人女性のこと、トルコでは何て言われてるか知ってる?」
 その答えは「TAXI」。
 おおっ、世界共通じゃないか。日本人女はどこに行ってもタクシー(もしくはイエロー・キャブ)と呼ばれているんだなぁ。
 日本人はそんなに節操がないのか、はたまた外国に個人で旅行するような女はセックス自体が目的の人が多いのか。

 確かに、先日もトルコに来ていた30代のお嬢さんたち(30歳過ぎりゃお嬢さんとは呼ばないのか)二人して、旅行初日にガイドとその友人に開脚。
「ちょっと口説いたら、あっと言う間に落ちた」
 しっかりみんなの話のネタになっているのも知らずに、疑似恋愛を楽しみ、下半身を満足させて日本に帰って行った。所詮旅の恥はかきすてで、彼女たちも割り切っているのだろう。

 しかし、そういう話はトルコに限らず、アメリカでもヨーロッパでも東南アジアでもいっぱいあるみたいだ。
 雑貨目当てで日本人おねぇちゃんがベトナムのサイゴン(ホーチミン・シティ)にたくさん行くようになってから、街角にもジゴロたちがうようよするようになった。そういうのを見掛けるたび、ああこれが需要と供給なんだなぁとしみじみと思ってしまう。

 私自身外国人と結婚していて、決してエラそうなことは言えないのだけど、なぜ外国にまで男を漁りに行くのか、その理由がさっぱり理解できん。
 一時期、主に東南アジア方面におねぇちゃんを買いに行く「ノーキョー男」たちはたくさんいたけれど、今は男を探しに行く日本人おねぇちゃんの方が多いんじゃないかな。
 また、そういった恋愛ごっこに巻き込まれて、ひどい目に遭ったという人たちも話も聞く。
 実は私もその一人。但し他人のイロコイに巻き込まれたのではなくて、「日本人は簡単にヤらせる」と思われたみたいで、あるトルコ人の絨毯屋にホテルの部屋まで踏み込まれて、あわや貞操の危機ということがあった。

 それはトルコに初めて行ったときのこと。
 イスタンブールからイズミールに行って、そしてまたイスタンブールに戻って来るという予定で一人旅をしていたのだが、最初に滞在したイスタンブールで絨毯を2枚買ってしまった。
 しかし、その後イズミールに行かなきゃいけなくて、お荷物になるような絨毯を下げていくわけにも行かないので、戻ってきたときに受け取る約束であった。
 そして、イスタンブールに戻ってきたときに連絡をしたら、ホテルまで持ってきてくれると言う。で、ホテルの名前を告げて、レセプションに預けておいてくれればいいと言ったのだが…。

 おそらくレセプションで金を握らせて、私の部屋番号を聞き出したようだ。そいつはそのまま部屋までやって来た。
 そうとは知らない私。チャイムの音にルームサービスかと思ってドアを開けたら、そいつがドアの前に立っていた。
 慌ててドアを閉めようとした瞬間。足をドアに挟んで、閉められなくされてしまった。まるで羽毛布団の押し売りのようである。
 どう考えても力は相手の方が強い。部屋の中までずるずると押されていって、さらにはベッドに押し倒された。

 しかし、強姦じゃさすがにバツが悪いのか、プライドが許さないのか。そいつはあくまで「和姦」を求める。その状態で口説き始めた。もちろん相手は日本語を理解できない。英語での会話である。
 及川、その頃は今より(今でもヒドイけど)もっともっと英語が話せなかった。「どこどこに行きたい」とか「これいくら?」とか、その程度しか喋れない。
 そんな状況でよく一人で海外に行ったもんだと後に思ったけど、まぁ何とかなるさで行っちゃったからしょうがない。とにかくこの場は、何とか英語で説得して乗り切るしかない。

 いやぁ。火事場のバカ力ってのは、ああいうことを言うんだと思ったね。知っている英単語、総動力である。
 私はあなたが好きではない。私はあなたとアバンチュールを楽しむ気持ちはない。私は外国人が嫌いである。私には将来を約束した恋人がいる、等々。
 延々1時間半。延々と説得である。だけど、向こうもなかなか引かない。ああだこうだと言い返してくる。
 なのに、ある一言。それを言った途端に、あっそうなのって感じで実にあっさりと部屋を出て行った。
 その言葉とは…「私はデブが嫌いだ」。

 はぁー? なんでこの一言で引き下がるかなとは思ったけど、まぁ出て行ってくれてよかったよかった。
 デブが嫌いというのは事実なので(ハゲもチビも嫌いだけどさ)、そのままストレートに言っただけなんだけど、かなり傷ついていたみたいではあった。肉体的欠陥を責める、というのはテなのかもしれない。
 その後も「日本人は簡単にヤれる」と思っているバカトルコ人から口説かれもしたけど、ほかのデブにこのテが通じるかは試していない。って言うか、デブとの接触があれ以降二度とないまま、今ではすっかり知られる顔となってしまったので、もう誰も私に話しかけもしないのさ。

 だけど、あのデブ。すごーく自信満々だったところを見ると、同じような手口で引っかかった日本人がほかにはいたってことなのか。
 ちなみに、プロのジゴロくんたちに言わせると。簡単に落ちる女、つまりは男を目的にして来る女はその仕草や話し方ですぐにわかるらしい。
 まず相手の目を見て話をしない。どこを見ているのかというと、口元だそうだ。さらに、笑い方がねっとりとしている。ガハハと笑うのではなく、視線を落としてウフフといった感じか。もっと言えば、放つオーラ自体が違うと言うのだ。

 私は同性だからという理由と、またそういうのを見抜く能力に激しく欠けているので、ほんとに見た目だけではわからないのだが、ジゴロたちはいともたやすくカモをゲットしている。
 ホモがホモを見抜くように、プロのジゴロたちには何の迷いもなく落とせる女がわかるのだろうなぁ。
 とりあえず。人の目を見ないで話をする癖のある人は、注意するように。




 
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