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2005年8月22日(月)
66.演説センス

 及川は一応「言葉の世界」の住人である。いや、大した者ではないが。
 だから、ホリエモンの発音の悪さをはじめ、言葉にはどうも敏感になってしまう。選挙演説やテレビのコメントの中などで、立候補者たちが言ってることにもついつい突っ込みを入れたくなる。

 このあいだテレビで、社民党の福島瑞穂の演説が放映されていた。
「自民党と民主党は、いわばカレーライスとライスカレーの違いのようなものです! 私たち社民党はオムライスです!」
 言っていることは面白いんだけど、この人が言うと全然笑えない。真面目な人柄が災い(幸い?)しているのだろうか。これが田中真紀子なら、
「あーた、自民党と民主党って言ったって、所詮カレーライスとライスカレーの違いくらいじゃないですか。私はね、オムライスですよ。ケチャップの甘さを卵がびしっと締めて、まぁ見た目もカレーライスなんぞよりいいし…」
 となって、演説を聞きに来たおばちゃんたちが「どっ!」。ああ、さすがに真紀子ちゃんは面白いこと言うわ、やっぱりこの人に投票したろ…と。
 カレーライスにライスカレーにオムライス。田中真紀子なら、まず喩えには使わない小道具だろうとは思うけど。

 話していること自体は大した中身がなくても、伏魔殿だのスカートを踏まれてだの、横須賀のアンチャンだの、絶えず目新しく面白い言葉をぽんぽんと放てる田中真紀子という人は、その政治理念がどうであれ、やはり注目されるに値するだろう。
 彼女の父親の田中角栄もそうだったし、小泉純一郎や石原慎太郎など一種カリスマ的な匂いを漂わせて、有権者の支持を得る人たちはやっぱり独特の演説センスを持っている。あと、失言も非常に多い。

 田中康夫も作家だけあって彼独特の言葉を持っている人だけど、とにかく康夫ちゃんの場合は話がわかりづらい。一生懸命聞いているうちに、
「あれ? なんかはぐらかされてない?」
 と思ってしまうのは、私だけだろうか。あの「ハキハキ喋らなさ」が長野県議会を苛立たせているのかも。
 逆に辻元清美は威勢と歯切れの良さだけが売り物で、独特の関西弁訛りがユニーク感を引き出しているけど、彼女自身はべつに面白いことを言える人ではないと思う。
 鈴木宗男のことを喩えて有名になった「疑惑の総合商社」だって、もともとは共産党の佐々木憲昭が言った「疑惑のデパート」をもじっただけのものだし、あの「総理、総理、総理、総理」だって何の工夫もされてないじゃん。たまたま言って、たまたまウケただけのこと。狙ってウケを取れる田中真紀子とは格が違うのである。

 また、最近の亀井静香はどうもイヤだなぁ。妙に愚痴っぽくて。この人のいいところは、不遜なまでの自信とうるさ型のキャラクターだったのに。
 このあいだもみのもんたの朝の番組に出ているときに、
「もんたさん(みのさんとは呼ばない、もんたさんだった)、あなたほどの人がなぜ…云々」
 小宮悦子の番組に出ているときも、
「あなたみたいな立派なキャスターが…云々」
 こういうのを「褒め殺し」って言うの? 言わないよね。単にキャスターに対して媚びを売るついでに、私はとっても可哀想な立場に立たされているのよってアピールをしているだけにしか見えない。
 これだったらまだ腰の低くなった(今だけだろうと思うけど)ホリエモンの方が好感度高いよ。

 と、まるでお笑い芸人を品定めしているみたいである。でも、演説センスって大事だと思うんだ、政治家にとって。
 だけど、そんな必死な候補者に対して、ホリエモンと握手してそのあとインタビューされていた一般のおばちゃん。
「この地区は亀井さんが強いよー。100パーセント亀井さんだね。私? ただの野次馬。話題の人だから見に来たの。うふふ」
 有権者はしたたかである。

 また時には、面白いことを言えなくてもいい、もっとまともなことを喋ってくれと願ってしまうような候補者もいる。
「料理も政治も同じもの」と言った藤野真紀子。本当に同じだと思っているのかとレポーターに突っ込まれて、「食育」に関しての論議をかましていた。親がちゃんと食事を作って子どもに食べさせれば、子どもはそれを感謝しつつ育つ。そのような社会を作っていきたいと…。
 それって、NPOじゃないの? なんで政治の舞台に出てきて、オーガニック奥さんたちが日頃言っているようなことをくりかえすのか。
 彼女に限らず、「スポーツも政治も同じです」「サラリーマンの仕事も政治も同じです」と言い放つヤツはたくさんいる。だったら、及川だって言ってやるよ。「作詞と政治は同じです!」
 はぁー、バカバカしい…。

 そして、そんなことよりも。この選挙の争点となっている郵政民営化法案。
 民営化すればどんな得があるのか損があるのか、わかりやすく説明してくれる人は誰もいない。なんでそんなに揉めているのか、新党を作るほどのことなのか、正直言って理解できない。
 面白くセンスよく、かつ明解に説明してくれる候補者に清き一票を投じたいと思っているのは、きっと及川だけではないはずだ。




 
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