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2005年6月8日(水)
43.猫との愛の日々 その5

 私が海外に行くなどで長期に家を空ける際は、必ずうちの母親が来て、2匹の猫の面倒を見ることになっている。
 しかし先日、母親と一緒にトルコに行くことになったため、ペットホテルに猫を預けることにした。

 今まで病院に2泊程度はしたことがあるものの、今回は12日間知らない場所に連れて行かれるのである。猫にとっては初めての経験である。
 うちの近所にはペットホテルや預かってくれる病院なども多く、何軒か聞いて廻ったのだが、案外これと思うところがなかった。
 と言うのは、猫よりも犬をメインに預かっているところが多く、犬と同じ部屋に猫用のケージを置かれるからだ。
 また、猫は犬よりもずっとナーバスなため、長期で預けると、時には体調を崩したり性格が変わってしまったりする場合も多いとのこと。小さい頃から預け慣れている猫ならともかく、長期間だとどうなるかわからない。責任を負えません、それでもいいのなら…とまで言いきるところもあった。

 で、どうしようかと思っていたところ、近所にペットホテルがオープンしたのを知った。見に行ってみたら、そこは普通のマンションで、女性が一人でやっている。
 話を聞けば、20年以上猫専門にやってきた人らしい。24時間体制で見てくれるし、ずっとケージに閉じ込めっぱなしではなく、外に出して運動させたりもしてくれる、とも言う。
 値段も1匹1泊3000円と、他に比べて安かったので、そこに預けることにした。
 また、ワクチン注射に病院に連れていったり、サービスでシャンプーや爪切りもしておいてくれる。さらには12日間で、エサも自然食に変えるようにしてくれるとのことだった。

 うちの猫はずっとドライフードで、まぁ手がかからなくていいのだが、一度母親が高いエサをやったら、それ以外は二度と食べなくなってしまった。チーズが中に入っているやつで、素晴らしく栄養価の高いエサである。
 お陰で2匹ともコロンコロンに太ってしまった。
 好きなものを食べさせてやりたいが、やはり体のことが心配である。おいしいエサはマグネシウム値も高く、病気になりやすいことが多い。病気になったらなったで、そのまま放っておくわけにはいかない。やはり病院に連れていかなければならない。そして、猫は保険が利かないのである。
 なもんで、体に優しい自然食に変える方がいいに決まっている。

 そんなこんなで、12日間。母親は楽しく、私は疲れ果てトルコから無事に帰って来たわけだが…。
 留守の間どうだったかと聞くと、初めは脅えていたが、そのうち慣れて一緒に遊ぶようにもなったと言う。
「ちゃんとごはんを食べてくれましたよ!」
 それは良かった。で、今日からはこれだけをあげればいいんだと、その新しいエサを買うことに。

 しかしその夜、エサを皿に入れた途端。2匹の猫は、まるで臭いものを嗅いだときのように後ろ足で砂をかける真似をし、そのエサに見向きもしない。そして、おなかが空いたと鳴きまくる。
 これを食べてたんじゃないのか? 
 しばらく放っておいたのだが、鳴き声は一向にやまず。とにかく絶対に食べようとはしない。
 あまりに食べないものだから、以前食べていたおいしいエサを混ぜて入れると、それだけをガツガツと食べている。自然食のエサは口の中に入ってしまった途端にペッと吐き出しているのだ。
 要するに、よその家ではお行儀良く振る舞っていただけなのである。

 トルコから帰ってきた次の日から、母親は大阪の弟の家に行ってしまったので、私一人で猫の相手をしながら過ごした。
 それから3日間はほとんど家にいたが、4日目の夜に約束が入っていて、ちょっと長い時間家を空けた。
 深夜、お酒も入り気分良く帰った私の目に映ったものは…。家中に巻き散らかされた、大量のゲロとウンコであった。
 どうも「また置いていかれた」と思い込んでしまったらしい。そのストレスで、一匹は下痢に、もう一匹はゲロが止まらない。

 泣きそうになりながら、夜中家中を掃除したわけなのだが、ソファーにも下痢状のウンコをしていて、気付かずにそのまま座ってしまった。
 雑巾片手に家の中あちこちを、臭い、絶対にどこかにウンコをしているはずだと、部屋の隅まで見てまわった。Tシャツにウンコを付けたままの自分が臭かったのである。
 その間も、猫は5分おきくらいにトイレに行っている。そして、いろんなところにウンコを垂れ流している。

 結局、次の日に病院に連れて行き診てもらったが、普段の状態になるまでにそれから3日間かかった。
 また、エサもおいしいもの以外は絶対に食べようとはせず、自然食のエサは大量に残っている。
 トルコの猫たちは、パンでもごはんでも、とにかくもらったものは何でも食べていた。
「おまえたちは、ほんとに贅沢だなぁ」
 まぁそんなこと言われても、猫は知ったことかと思うだけなんだけどさ。




 
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