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2005年3月30日(水)
24.好きが嫌いに、嫌いが好きに

「あっ、この人好き!」
「あ 、こいつ嫌い!」
 そう判断する瞬間の基準って何なんだろうな、とよく思う。ほとんど一瞬にして好き嫌いが決まっちゃうときがあるもの。この人はこうだから好きという理屈じゃなくて、もっと本能に近い感じか。

 生理的に嫌い、という言葉をよく耳にする。この感覚は女特有のものかと思っていたら、男でも時々使う人がいるのにはちょっと驚いた。理論や分析で納得したり割り切ったりできる、男は基本的にそういう生き物だと思っていたからさ。
「俺、あいつのこと生理的にダメなんだよな」
 絶対にイヤー、地球がひっくり返ってもイヤーみたいな言い方をするのは、女の定番という気がしないでもない。でも、男の心にもそういう「子宮感覚」が存在するんだろうか。

 どんなにいい人でも、それを理解できても、どうしてもダメな人っているよなぁ。お願いだから、半径1メートル以内に来ないでって思っちゃう人。嫌いなタイプだから、なんてなまじっかな理由ではない。心の深層部分で完全に排除してしまっている人、と言えばいいのだろうか。

 もうずいぶん前、ほんの一瞬だけ私のマネージャーをやってくれていた人がそうで、これは立場上とてもキツかった。頭では仕事だからと割り切っていても、体が拒否をしてしまう。
 たとえば、エレベーターに乗るときなど。「先にどうぞ」という感じで、その人が何気に背中にふれようとすると、考えるよりも先にすっと体が引く。その人にふれられるのがたまらなくイヤで、無意識に手をよけてしまうのだ。
 一度その人と満員電車に乗らざるを得なかったとき、目的駅に降りるまでずっと鳥肌が立っていた。

 また、ほかの人に言われたならすんなりと受け入れられるのに、彼のフィルターを通して発する言葉に対しては耳を塞いでしまう。だから、何かを伝えられても、それを覚えていなかったりするのだ。
 もちろん、こういう行為は相手に対しても失礼だし、何度かそういうことをやるうちにその人も気付いてムッとしている。わかるんだけど、もうどうしようもないって感じ。たとえ千年付き合っても、絶対にこの人を好きになることはできないなと思った。

 でも、私の人生でそこまで拒絶してしまったのはその人くらいで、大抵の場合、こっちが傷つくような出来事があって、それで相手を嫌いになるというパターン。
 テレビに出ているような人たちを観ていても、やっぱり何らかの理由があって、好きと嫌いを分けている。特に芸能人のように、自分が実際に接していない相手に対しては、嫌いなタイプだから嫌いという理由がいちばん大きい。
「あたし、このタレントってなんかヤなのよねぇ」
 きっと何らかの理由があるんだけど、それを突き詰めていないというだけに過ぎない。
 生理的にダメというのは、生身の人間を前にして初めてわかることである。自分の嗅覚や触覚などのすべてが拒絶してしまうのだ。

 過去にひどい仕打ちをされたというわけではない、こっち側から観ればあくまで二次元にいる相手、視覚だけで捉えている人は、ある日突然好きが嫌いに、嫌いが好きに変わる可能性だってある。
 そして、そのタイミングにもやはり何らかのきっかけや理由があり、世間までも同じ方向性に向かうことが多い。

 最近の顕著な例は石田純一。不倫問題で散々バッシングを受けた挙げ句、色男から色モノになってしまっていた石田純一は、長谷川理恵と別れることで人気を取り戻した。
 かつて、日本中に「この女バカじゃねぇの」の思わせた君島十和子は、今や主婦のカリスマ的存在である。化粧がうまいってことだけで尊敬されるのもスゴいことだが。
 脚が長いだけのアーパー女だった村上里佳子も、いかにも将来性のなさそうな三流アイドルだった三浦りさ子も、結婚して子どもを産んで、知らんうちに「ステキな奥さん」になってしまった。

 逆に、独身女の心のよりどころだった杉田かおると磯野貴理子は、今やうざったいだけの存在。彼女らを支えていた層は、すべて梨花に流れていってしまっていると思う。
 また、以前は女の敵というイメージが強かった飯島愛や杉本彩だって、いつのまにか好感度タレントの仲間入り。今じゃ彼女たちのファンはほとんど女だしな。

 ってことは、好きが嫌いに嫌いが好きに変わるタイミングというのは、ほとんどの場合、女が握っているのかもしれないな。一人の女が「この人いいじゃない」と思った瞬間に、それが伝染し世間の賛同を得ていく。
 男は女と比べて好き嫌いのラインが緩いから、女が好きだとか嫌いだとか主張すれば、何となくあっさりそれを受け入れる。
 たとえ日本が滅びたってイヤです、みたいな「子宮感覚」を男が持っていたとしても、やはり本物の女には敵わないのだよ。

 しかし、やはり以前は女の敵のような位置にいたのだが、最近では「私は女性の憧れの人です」的な本を出して、人気取りを狙っている武田久美子。三浦りさ子と杉本彩の中間点に佇んで、どっちつかずな感じがよけいに反感を煽るだけじゃなかろうか。
 自分から「私の生き方を見なさい!」と言っちゃいかんだろう。今の日本でそういうことを言っても笑って許されるのは、叶姉妹の姉の方だけだ。

 まぁだけど、好きというのは嫌いの裏返しだから、
「好きでも嫌いでもないなー。はっきり言って、興味ない」
 なんて言われるよりも、ある程度の敵意をもって迎えられる方が、好きに転ぶ可能性も大きいってことだ。その逆もまたしかり。
 果たして、さとう珠緒が女に支持される日がやってくるのかどうか。




 
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